研究成果

研究業績

計画研究

  1. A01

  2. A02

  3. A03

公募研究

  1. A01

  2. A02

  3. A03

プレスリリース

2020.10.09

マウス胎仔期の生殖細胞の代謝状態の雌雄差と分化段階による変化

林 陽平(A01公募研究代表者)

我々は以前の論文で、メタボローム・プロテオーム統合解析により、多能性幹細胞から始原生殖細胞が分化する過程で、解糖系の低下、酸化的リン酸化の亢進といったエネルギー代謝変換が起こることとその生理的意義を報告しました。今回、この研究をさらに発展させ、マウス胎仔期の雌雄生殖細胞を用いて同様の解析を行い、生殖細胞の代謝特性の雌雄差と分化による変化を明らかにしました。 その結果、例えば、酸化的リン酸化や、タンパク質代謝に関連する分子経路は、13.5日胚では、雌に比べて雄で亢進していますが、発生の進行に伴い逆転し、18.5日胚では雌の方が雄より亢進することがわかりました。また、エピジェネティック制御、アミノ酸や核酸合成などへの関与が大きい、One-Carbon経路やトリカルボン酸(TCA)回路関連の代謝経路は、発生段階を問わず雌より雄の生殖細胞で一貫して亢進していることがわかりました。 これらの結果から、胎仔期生殖細胞の代謝状態が、様々な細胞の制御機構と関連しながら、配偶子への分化に重要な役割を果たしている可能性が示唆されました。

発表論文情報(PubMed)

プレスリリース

2020.10.02

マウスの性決定遺伝子Sryにはオス化に必須の”隠れ"エキソンが存在する

立花 誠(A01計画研究代表者)

ほ乳類の性決定遺伝子であるSryはひとつのエキソンでできていると30年間信じられていました。今回私たちはマウスSryに第2エキソンが存在することを発見し、二つのエキソンによる転写産物(Sry-T)は新規SRYタンパク質であるSRY-Tをコードしていることを明らかにしました。SRY-Tは実際に生体内で機能する真の性決定因子であることが分かりました。一方で、これまで知られていた第1エキソンのみによる転写産物(Sry-S)がコードするSRY(SRY-S)は、C末端にデグロン配列を有しているため性決定因子としての機能が不十分であることも分かりました。Sryの第2エキソンはレトロトランスポゾン由来の配列でできており、ごく最近マウスで進化(exonization)したと考えられます。これらの成果はほ乳類の性決定に関する教科書の改訂につながりました。

発表論文情報(Science) 日経新聞朝刊、産経新聞朝刊、テレビ大阪「やさしいニュース」、朝日新聞WEBサイト(下記)などのメディアで取り上げられました。 詳細は大阪大学のプレスリリース情報を参照ください。

プレスリリース

2020.09.17

マウスSry遺伝子座の細胞種・時期特異的なDNAの脱メチル化を触媒する酵素を同定

立花 誠(A01計画研究代表者)

ほ乳類に性決定遺伝子であるSryは胎児期の生殖腺体細胞で一過的に発現します。Sryの活性化とSry遺伝子座のDNAメチル化が逆相関することが分かっていましたが、それがどのようなメカニズムで起きているのか不明した。大阪大学生命機能研究科の立花誠らの研究グループは、Tetと呼ばれるDNA酸化酵素群の機能に着目しました。TetファミリーはTet1/2/3の3つで構成されますが、そのうちのTet2がSryのDNAの脱メチル化に寄与していることを明らかにしました。以前立花教授らのグループは、ヒストンの脱メチル化がSryの発現に必須であることを明らかにしています。今回の成果は、ヒストンとDNAの脱メチル化が協調して働くことでSry活性化が起きていること示しています。

発表論文情報(PubMed)

2020.09.17

ヒストンの脱メチル化によるエピジェネティック制御は有性生殖細胞の維持と分化に必須である

立花 誠(A01計画研究代表者)

ほ乳類の雄性生殖細胞には幹細胞が存在し、生涯にわたって精子のもとになる細胞を供給し続けます。幹細胞から分化した有性生殖細胞は、減数分裂や形態形成などの過程を経て精子へと分化します。大阪大学生命機能研究科の立花誠らの研究グループは、Jmjd1ファミリーと呼ばれるヒストン脱メチル化酵素群が雄性生殖細胞の幹細胞の維持に必須であることを明らかにしました。以前立花教授らのグループは、G9aと呼ばれるヒストンメチル化酵素が生殖細胞の減数分裂の進行に必須であることも明らかにしています。これらのことから、幹細胞から精子形成へと至る分化の過程には、ヒストンメチル化酵素と脱メチル化酵素によるダイナミックなエピゲノム制御が必要であることが分かりました。

発表論文情報(STEM CELL REPORTS)

2020.09.09

母体副腎腫瘍による胎児の男性化のメカニズムを解明:ヒト胎児の体内で作用する新たな男性ホルモンの同定

深見 真紀(A02計画研究代表者)

国立成育医療研究センター分子内分泌研究部の深見真紀部長らの研究グループは、出生時に原因不明の男性化が認められた女性新生児の研究を行い、近年ヒトで発見された新たな男性ホルモンである「11-oxygenated C19ステロイド(11oxC19s)」が母体において高値であったことが、この症例の男性化の原因であることを発見しました。この児の母親は副腎腫瘍を有しており、血中「11oxC19s」が高値、一方「テストステロン」などの古典的男性ホルモンは正常範囲内でした。この研究によって、「11oxC19s」が男性ホルモンとしてヒト胎児の体内で重要な作用を発揮することがはじめて明らかとなりました。

詳細は国立成育医療研究センターのプレスリリースをご覧ください。

2020.08.26

なわばりから同性の侵入者を追い払う脳内ホルモンを発見

大久保 範聡(A02計画研究代表者)

多くの動物種のオスは、配偶者や食料を確保するために「なわばり」を形成し、なわばりに入ってきた他のオスを追い払います。一方、メスの間には、そのような行動はあまりみられません。今回、東京大学大学院農学生命科学研究科の大久保範聡准教授らの研究グループは、なわばりから自身と同じ性別の侵入者を追い払う行動が、ガラニンという脳内ホルモンによって引き起こされることをメダカで見出しました。脳内のガラニン合成は、精巣から放出される男性ホルモンによって促進されるため、この行動はほぼオスだけで引き起こされることも分かりました。マウスでは、ガラニンは子育てを促す脳内ホルモンとして、性別を問わず合成されることが知られていました。他者への攻撃や子育てなどを支配する脳内の神経回路は、魚類から人間まで共通に存在することが知られていますが、それらの行動には、動物種や性別による違いが大きいのも事実です。今回の成果は、そのような違いが生み出される仕組みの一端を明らかにしたとも言えます。

詳細は東京大学のプレスリリースをご覧ください。 発表論文情報(大久保)

2020.07.06

先天性下垂体機能低下症の症例で新たな遺伝子変異を同定

深見真紀(A02計画研究代表者)、長尾恒治(A01計画研究代表者)、緒方勤(A02計画研究分担者)

SMCHD1は従来、筋ジストロフィーや無鼻小眼球症候群の原因遺伝子として知られていました。しかし、本研究によってSMCHD1遺伝子変異が、筋肉や鼻の異常を伴わない先天性下垂体機能低下症の原因となる可能性が見いだされました。これまで原因不明とされていた下垂体機能低下症の患者さんに、SMCHD1遺伝子変異を有する方が含まれている可能性があります。

詳細は国立成育医療研究センターのプレスリリースをご覧ください。 発表論文情報(長尾) 発表論文情報(深見)

2020.06.06

卵を作り出す仕組みを発見:精子ではなく、卵になるということ

田中 実(A03計画研究代表者)

生殖細胞は、卵と精子のどちらにもなりうる細胞です。しかしながら、“卵になることを決める仕組み(性のスイッチ)”と“生殖細胞が卵を作り出す仕組み”とがどうつながっているのかは解明されていません。卵になるためには、細胞はいくつかの特徴を備えなくてはなりません。研究グループは、生殖細胞の性のスイッチを入れる遺伝子 foxl3が、卵の2つの特徴、減数分裂と濾胞形成、を作り出す分子機構(rec8afbxo47)を発動させることを明らかにしました。しかも rec8a による減数分裂開始はメスでのみ起こることもわかりました。さらには、卵になることが確定するまでにはいくつかの段階が必要で、その間は精子へと分化する経路を抑えることが重要であることもわかりました。それを担うのが fbxo47 で、この遺伝子が働かないと卵巣で精子形成が開始されてしまうのです。以上の研究により、性のスイッチと卵を作る仕組みとが分子レベルで初めて連結され、卵形成の初期の重要な分子機構が明らかとなりました。同時に、生殖細胞はひとたび卵になろうとしても状況によっては精子にもなれる柔軟性を備えていることが示され、性スペクトラムの新たな分子機構が見えてきました。

詳細は名古屋大学のプレスリリースをご覧ください。 名古屋大学院理学研究科生命理学専攻・理学部生命理学科のトピックスもご覧ください。 発表論文情報

2020.05.07

飢餓によってメスがオスになる?!!

田中 実(A03計画研究代表者)

メダカの性はXX/XY型の遺伝的性決定を行います。ところが性決定時期の稚魚を5日間の飢餓状態にすると、遺伝的メスメダカの20%がオスになることを見出しました。そこでメダカの稚魚が持つ代謝物をメタボロームを行い網羅的に測定したところ、パントテン酸から脂肪の合成に関わる代謝物の量が飢餓によって変化することを見出しました。さらに遺伝的メスの稚魚の脂肪の合成を薬理学的に阻害したり、脂肪の生合成に重要な遺伝子の変異体を作成して解析したところ、オス化遺伝子である dmrt1 の発現が遺伝的メスでも検出され、一部がオスのメダカに転換することがわかりました。以上の結果から、遺伝的性決定を行うメダカでも、飢餓状態という自然環境や脂肪を合成する代謝系によって性がされるという、性が制御される現象とメカニズムの一端が明らかになりました。

詳細は名古屋大学のプレスリリースをご覧ください。 名古屋大学院理学研究科生命理学専攻・理学部生命理学科のトピックスもご覧ください。 発表論文情報

2020.01.15

環境光による記憶維持機構の発見:ハエのトラウマ記憶は消去できる!

坂井 貴臣(A01公募研究代表者)

動物は自身の経験を通して記憶を獲得し、それを維持して生存に役立てています。これまでに多くのモデル動物で記憶獲得の分子機構が明らかにされてきましたが、獲得した記憶を長期間維持する機構はよく分かっていませんでした。首都大学東京理学研究科の坂井貴臣准教授らの研究グループは、ショウジョウバエが環境光を利用して長期記憶を維持していることを発見し、この「光による記憶維持」の分子メカニズムを明らかにする研究を行いました。その結果、光により神経ペプチドPDF(神経伝達物質の一種)が放出されると、ハエ記憶中枢におけるCREBという転写因子が活性化し、記憶中枢で新規遺伝子が発現することで長期記憶が維持されることを突き止めました。

この成果は、光の有無や遺伝学的な操作により、長期記憶の維持もしくは消失をコントロールできる可能性を示しています。長期記憶は一度獲得されると簡単には忘却されず、消去が困難です。そのため、トラウマによる記憶など、動物にとってネガティブな記憶が残り続けてしまうという弊害をもたらしてしまいます。今回の研究成果は、将来、トラウマ記憶の消去技術の発展に寄与するかもしれません。

詳細は首都大学東京のプレスリリースをご覧ください。

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2019.10.08

胎盤・胎児の発生に重要なアミノ酸トランスポーターを同定

的場 章悟(A01公募研究代表者)

理化学研究所(理研)バイオリソース研究センターの的場章悟専任研究員らグループは、マウスの胎盤・胎児の正常な発生に必要なアミノ酸トランスポーターを発見しました。この研究成果は、ヒトを含むさまざまな哺乳動物で起こる子宮内発育遅延のモデルとして、病態の理解および治療法の開発に貢献すると期待できます。

哺乳類では、胎児の発生に必要なエネルギー源(糖・脂質・アミノ酸など)は全て、胎盤を介して母体から供給されていますが、その分子メカニズムはよく分かっていません。今回、研究グループは、マウスを用いて胎盤でのアミノ酸供給に関わる遺伝子を探索し、SNAT4というアミノ酸トランスポーターをコードするSlc38a4遺伝子が胎盤・胎児の発生に必須であることを発見しました。Slc38a4は父方由来の遺伝子座から発現するインプリント遺伝子であり、その父方遺伝子座をノックアウトすると、胎盤のサイズが3~4割ほど小さくなり、胎児は重篤な発育不全を示しました。本ノックアウトマウスは、子宮内発育遅延のモデルとして有用なだけでなく、子宮内の栄養環境が胎児の性スペクトラムに与える影響を解析する良いモデルになる可能性があります。

詳細は理化学研究所のプレスリリースをご覧ください。

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2019.09.06

胎児の出生を可能とする染色体数の自然修復は、受精後数日に集中

深見 真紀(A02計画研究代表者)、緒方 勤(A02計画研究分担者)

国立成育医療研究センターの深見真紀部長らのグループは、ヒト胚における染色体の変化が時間によって厳密に制御されていることを明らかにしました。この研究成果は、ヒト胚の成熟プロセスの解明や染色体異常の発症メカニズムの理解に役立つことが期待されます。

受精から間もない時期のヒト胚の細胞では、しばしば染色体の数の異常が認められます。このような細胞を多く持つ胚は通常着床しませんが、一部の細胞では染色体数異常が自然に修復されることがあります(異数性レスキュー)。本研究の結果、出生を可能にする異数性レスキューは受精後数日間の短期間に集中して起こることがわかりました。さらに、異数性レスキューを受けた胚でも、正常な胚と同じタイミングで「X染色体不活化」という変化が始まることがわかりました。これは胚成熟に必要な染色体変化が、胚の中の細胞数とは無関係に、受精後の時間に応じて進行することを示します。

詳細は国立成育医療研究センターのプレスリリースをご覧ください。

AMEDのプレスリリースもご覧ください。

日経産業新聞の記事もご覧ください

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2019.08.10

「誰でも」「簡単に」「効率よく」モデルラットを作出できる技術を開発

本多 新(A01公募研究代表者)

今回、京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設の本多新特定准教授と浅野雅秀教授らの研究チームは、「誰でも」「簡単に」「効率よく」モデルラットを作出できる技術開発に成功しました。まずラットに投与するホルモンの組み合わせを工夫して、試した全てのラット系統で高効率な(最大約19倍)過排卵を実現しました。次に、それらの卵子で体外受精法の開発を行いました。これまで複数の研究チームがラットでの体外受精に成功していますが、実際は再現が非常に困難でほとんど普及していませんでした。研究チームはラットから卵を取り出す方法を工夫することで、再現よく体外受精が成功することを発見しました。さらに、それら体外受精卵子を使って遺伝子破壊を行ったところ、その全て(100%)の個体で遺伝子が完全に破壊されていました。最後にウイルスベクターを用いた簡便な遺伝子置換を行ったところ、やはり非常に高効率(33~47%)に達成できることを発見しました。特に本研究で用いられている遺伝子改変法は、高額な器機を必要とせず、わずかなトレーニングで習得できる技術を活用していることから、「誰でも」「簡単に」「高効率」なモデルラットの作出を可能とするものと言えます。

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2019.08.09

カップル成立の鍵を握るメスの脳内ホルモンをメダカで特定

大久保 範聡(A02計画研究代表者)

多くの動物種では、オスがメスに求愛のアピールを行います。メスは、その求愛アピールを気に入ればオスを配偶者として受け入れますが、気に入らなければオスを受け入れません。今回、東京大学大学院農学生命科学研究科の大久保範聡准教授らの研究グループは、オスの求愛アピールに応じてメスがオスを受け入れるプロセスが、ニューロペプチドB(NPB)という脳内ホルモンによって制御されていることをメダカで見出しました。NPBは、生殖行動に関わる脳の領域でメスだけで合成されており、その合成は、卵巣から放出される女性ホルモンによって直接的に活性化されることも分かりました。これらの成果は、動物の「つがい(カップル)」が形成される際の脳内の仕組みの解明につながると期待されます。

詳細は東京大学のプレスリリースをご覧ください。

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2019.07.01

ブリ類の性決定遺伝子を発見

菊池 潔(A01計画研究代表者)

「動物の性を決定する実効物質はステロイドである」という説は20世紀前半から存在していました。しかし、ヒトやマウスの生殖腺の場合、ステロイドは性決定自体には必要なく、むしろ性が決定されてから後のイベントである性分化に必須であることが明らかとなっています。ただし、胎盤をもたない動物(有袋類・爬虫類・両生類・魚類)の場合、本説の当否はいまだ決着がついていませんでした。その主な理由は、性決定と性分化というふたつのイベントを明確に区別した実験が困難であったためです。本研究は、ブリ類の性が、ステロイド代謝酵素遺伝子上の雌雄差(一塩基のみ)により決まることを明らかとしました。これにより、ステロイドが性を決めている動物がいることが明確に示されました。

詳細は東京大学のプレスリリースをご覧ください。

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2019.02.25

生殖細胞の性のスイッチ因子 FOXL3 に制御される因子を同定

田中 実(A03計画研究代表者)

名古屋大学大学院理学研究科の田中実らの研究グループは、生殖細胞の性のスイッチ因子 FOXL3 に制御される因子を同定しました。この成果により、生殖細胞がメスになるための分子機構に、減数分裂因子とユビキチンリガーゼ関連因子が関与することが明らかになりました。

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2019.01.26

腸内細菌叢が性成熟のプロセスを調整する

菊水 健史(A02公募研究代表者)

麻布大学獣医学部の茂木一孝、菊水健史らの研究グループは、腸内細菌叢が性成熟のプロセスを調整することを見出しました。

性の発達は遺伝子のみによらず、内分泌や環境の影響を受けて形成されていきます。今回、我々は腸内細菌叢が性の発達に関係することを明らかにしました。無菌マウスでは糞便中のステロイドホルモンの値が低く、また性成熟も遅延していました。無菌マウスにマウスの糞便を移植すると、その遅延が解消されました。このことから、動物は腸内細菌叢を介して、性成熟のプロセスを調整している可能性が見出されました。

発表論文情報

2019.01.15

トンボ由来の紫外線反射物質を同定

二橋 亮(A01公募研究代表者)

産業技術総合研究所の二橋亮主任研究員らの研究グループは、浜松医科大学、名古屋工業大学、東京農業大学の研究グループと共同で、トンボ由来の紫外線反射物質を同定しました。

日本全国に広く生息するシオカラトンボは、オスが成熟過程で紫外線を反射するワックスを分泌します。今回、その紫外線反射ワックスが、従来知られていた他の生物のワックスと異なり、極長鎖メチルケトンと極長鎖アルデヒド(いずれも具体的な機能や性質はほぼ未解明)が主成分であることが分かかりました。さらに、極長鎖メチルケトンを化学合成して結晶化させたところ、強い紫外線反射能と撥水性が再現されました。

詳細は産業技術総合研究所のプレスリリースをご覧ください。

発表論文情報

2018.11.08

RNAが操るミジンコの性決定ー性決定遺伝子のスイッチをオンにする長鎖ノンコーディングRNAの発見

加藤 泰彦(A03公募研究代表者)

大阪大学大学院工学研究科の渡邉肇教授、加藤泰彦助教らの研究グループは、ミジンコのオスの性決定に必要なDsx1遺伝子のスイッチをオンにする長鎖ノンコーディングRNAを発見しました。

詳細は大阪大学のプレスリリースをご覧ください。

発表論文情報

2018.09.29

X染色体の不活性化を個体レベルでライブイメージングする方法を開発

小林 慎(A01公募研究代表者)

産業技術総合研究所・創薬分子プロファイリングセンターの小林慎主任研究員は、エピジェネティクな現象である「X染色体の不活性化」を個体レベルで、ライブイメージングする方法(mojimiマウスシステムと命名)を開発しました。本研究成果は、エピジェネティクスの変化を可視化できる技術で、個体発生研究のみならず、多能性幹細胞の未分化状態の判別などに役立つことが期待されます。

発表論文情報

2018.09.20

Ftx lncRNAを欠いた雌マウスはX染色体不活性化異常を示し、ヒト小眼球症様の症状を示す

小林 慎(A01公募研究代表者)

産業技術総合研究所・創薬分子プロファイリングセンターの小林慎主任研究員、東京医科歯科大学の石野史敏教授らのグループはエピジェネティクな現象である「X染色体の不活性化」機構にFtx long non-coding RNAが働くことを明らかにしました。本研究成果は、従来の遺伝学では説明が難しかった性差を示すヒト疾患の病因解明につながると期待できます。

詳細は産総研のプレスリリースをご覧ください。

発表論文情報

2018.09.05

体細胞遺伝子の抑制による生殖細胞形成の分子機構

林 陽平(A01 公募研究代表者)

東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センターの松居靖久教授、望月研太郎助教(現・ブリティッシュコロンビア大学・研究員)、林陽平助教、関中保特別研究員らのチームは、マウス生殖細胞が胚発生の初期に形成される際に必要なタンパク質としてHDAC3を同定しました。さらにHDAC3は、生殖細胞形成に働くタンパク質BLIMP1と協調し、形成期の生殖細胞において体細胞遺伝子群の発現を抑制し、その制御下にある生殖細胞形成に必要とされる遺伝子の発現を保障していることを明らかにしました。本研究成果は、世代継承を担う生殖細胞の形成を制御する根本原理の一端の解明につながる可能性があります。

詳細は東北大学のプレスリリースをご覧ください。

発表論文情報

2018.07.20

クローン胚の新たなエピゲノム異常を発見:ヒストン修飾によるゲノムインプリンティングが破綻

的場 章悟(A01 公募研究代表者)

理化学研究所バイオリソース研究センター遺伝工学基盤技術室の的場章悟専任研究員、井上貴美子専任研究員、小倉淳郎室長らの国際共同研究チームは、マウスクローン胚の包括的な解析を行い、新たなエピゲノム異常を発見しました。

詳細は理化学研究所のプレスリリースをご覧ください。

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2018.04.04

どんなときでも身体をメスにしたがる細胞:生殖細胞

田中 実(A03 計画研究代表者)

名古屋大学大学院理学研究科の田中実教授、西村俊哉助教の研究グループは、国立遺伝学研究所の酒井則良准教授のグループ及び University of Massachusetts Boston の Kellee Siegfried 博士との共同研究により、身体をメスにしたがる特質の細胞がいることを、メダカを利用した実験において見出しました。

哺乳類もメダカもY染色体を持っていると身体はオスになります。ところが、「生殖細胞」は身体がY染色体を持っていようがいまいが、もともと、身体をメスにしたがる働きを持っているだけでなく、この特質がないとメダカはメスにはなれないこともわかりました。「生殖細胞」は精子と卵(配偶子)の元となる細胞、すなわち、子孫を作り出すのに必須の細胞なのです。生殖細胞は、精子と卵のどちらにもなれる能力を持っています。興味深いことに、このメスにさせる特質は、生殖細胞が精子もしくは卵のどちらになるのかが決まる前の状態から発揮され、また「精子になる」と決まった生殖細胞にもこの特質があることがわかりました。身体をメスにしたがる細胞の特質がわかったことにより、今後、身体の性が決まる仕組みの理解が一層深まると期待されます。

この研究成果は、中日新聞をはじめ、多くのメディアで取り上げられました。

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2018.04.02

無精子症の原因となる新たなる遺伝子異常を発見

深見 真紀(A02 計画研究代表者)

国立成育医療研究センター分子内分泌研究部の中村共同研究員、宮戸上級研究員、深見部長らのグループは、多施設共同研究を行い、ヒトの無精子症の原因となる新たなる遺伝子異常を発見しました。

Stx2 遺伝子ノックアウトマウスは精子形成不全を呈することが知られていましたが、ヒトSTX2 遺伝子の機能は不明でした。われわれは、国内の医療機関を受診された日本人非閉塞性無精子症患者さん131例を対象としてSTX2 遺伝子シークエンス解析を行いました。

その結果、1例の患者さんにホモ接合性フレームシフト変異 [c.8_12delACCGG, p.(Asp3Alafs*8)] を同定しました(図A)。その患者さんの精巣では、STX2 遺伝子ノックアウトマウスの精巣組織像の特徴的所見とされる「多核化精母細胞を伴う減数分裂停止像」が見いだされました(図B)。

以上の結果から、STX2 がヒト無精子症の原因遺伝子の一つであること、さらにSTX2変異は特徴的な精巣内の細胞の変化を招くことが明らかとなりました。原因不明の男性不妊症患者さんの一部には、この遺伝子の変異を持っている方がいると推測されます。

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