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先輩の声
三島 徹也氏(83年卒) 松井 保幸氏 (87年卒) 岡本 章司氏(89年卒) 土屋 智史氏(96年卒)
  上田 功氏(90年卒) 北河 大次郎氏(92年卒) 廣瀬 利雄氏(55年卒)
綿谷 昭夫氏 (72年卒) 大野 浩氏(83年卒・故人) 田口 治宏氏(84年卒) 瀬古 一郎氏(90年卒)
水谷 誠(85年卒) 盛谷 明弘(86年卒) 滝本 勝(97年卒) ジェ シュ氏(12年卒)
シタラム氏 (90年卒) ハメド ハドホウド氏(10年卒) ペンヌン ワーンニッチャイ氏(85年卒) ヤニさん(10年卒)
ヨランダ アルベルト氏 (14年卒) ラン ビン(89年卒) 森 昌文氏(81年卒) 天野 玲子氏(80年卒)
田代 民治氏 (71年卒)

【可能性の拡大 −博士課程進学とベンチャー企業の設立−

氏 名: 土屋 智史

所 属: 東京大学大学院工学系研究科
社会基盤工学専攻コンクリート研究室博士3年
E-mail: satoshi@comse.co.jp
http://concrete.t.u-tokyo.ac.jp/mem/satoshi/

株式会社コムスエンジニアリング
取締役第二事業部長
http://www.comse.co.jp/

略 歴:
1996.3 東京大学工学部土木工学科卒業
1998.3 東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻修士修了
2000.7 株式会社コムスエンジニアリング設立
2001.3 東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻博士修了(見込)

これまでに関わった学術関係の活動は以下の通り.

土木学会コンクリート委員会
示方書改訂小委員会 耐震設計編改訂作業部会 委員, 1999.9-2001.3  
耐震研究小委員会(第2期) 委員, 1999.5-1999.12  
阪神・淡路大震災被害分析小委員会(第1期) 幹事長, 1998.4-1999.3
(第2期) 幹事長, 1999.10-2000.9
台湾集集地震災害調査団 団員, 1999.9-10


 私は硬式野球部に在籍していた関係で,大先輩であり,前野球部部長でもあった岡村先生(現本学名誉教授)を頼り,4年次に卒業論文を執筆するためにコンクリート研究室に配属されました.以来研究室に居座り続け,6年目になります.学部の頃には碌に授業に顔を出さないでいた私が,何故こうなってしまったのか定かではありませんが,鉄筋とコンクリートを組み合わせる際,1+1が2になるとは限らず,上手くすると5にも10にもなるが,方法を誤ると2よりも小さくなる鉄筋コンクリートという複合材料に興味を憶えたためなのかも知れません.

 研究室配属時が兵庫県南部地震の直後であった影響もあり,鉄筋コンクリート構造物の耐震を卒論テーマに選び,岡村先生・前川先生が開発された数値解析手法を使用させて頂きながら研究を続けています.勉強を重ねるにつれ,その解析手法が世界的にも群を抜いてトップレベルにあり,高い社会的価値と可能性を秘めていることを理解するとともに,研究活動を通じて,長年の基礎研究を集大成し,数値解析を実用化展開するのに一翼を担うことができました.

 現在では,博士学生の立場から示方書改訂を含めた委員会活動に参加する等,最先端の研究成果と実務的要請とを結び付け,直接的に社会的貢献を果たすべく努力を重ねております. 一方で,それだけの技術が世間で広く活用されておらず,先生方の努力と多忙さとは裏腹に,正当な評価と報酬を得られていないことに疑問を感じておりました.

 そこで思い付いたのが,ベンチャー企業((株)コムスエンジニアリング)の設立です.先生方が考案された高度な技術にビジネスチャンスを見出し,同時に新技術を世界に広めることが出来るのではないかと考えた訳です.企業活動を通して,次世代の技術展開を探ることも期待されます.ビジネスの創生は市場の厳しい眼に晒されることにもなりますが,競争原理を導入し,技術を正当に評価する時代への変換とも合致するものと自負しています.自分は旗振り役の1人を買って出ただけで,第3者として外部からサポートするつもりでいたのですが,何時の間にか取締役に就任しておりました.

 どうやら,博士課程に進学し長期間数値解析に携わっていた結果,幸運にも,自然と理解が及び,最適と判断されるだけの技術を身につける機会を得ていたようです.新会社は設立したばかりで整備を進めている最中ですが,詳細はWEB(http://www.comse.co.jp/)で御確認下さい.

  結局,大事なことは博士課程を卒業したという肩書きではなく,そこで何を学び,どれだけ実力をつけたかということだと思います.(それは,学部でも修士でも同じですね.)ベンチャーは極端な例かも知れませんが,真に実力を備えていれば,景気動向や性別・年齢とは関係なく,卒業時に無限の選択肢が存在します.幸いにも,それだけの能力を備えるため研鑚を積むのに最高の環境と教員陣が,土木工学科/社会基盤工学専攻には揃っております.博士進学も一度検討してみることをお薦めして,本文を閉じたいと思います.

平成12年10月25日



 
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