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先輩の声
三島 徹也氏(83年卒) 松井 保幸氏 (87年卒) 岡本 章司氏(89年卒) 土屋 智史氏(96年卒)
  上田 功氏(90年卒) 北河 大次郎氏(92年卒) 廣瀬 利雄氏(55年卒)
綿谷 昭夫氏 (72年卒) 大野 浩氏(83年卒・故人) 田口 治宏氏(84年卒) 瀬古 一郎氏(90年卒)
水谷 誠(85年卒) 盛谷 明弘(86年卒) 滝本 勝(97年卒) ジェ シュ氏(12年卒)
シタラム氏 (90年卒) ハメド ハドホウド氏(10年卒) ペンヌン ワーンニッチャイ氏(85年卒) ヤニさん(10年卒)
ヨランダ アルベルト氏 (14年卒) ラン ビン(89年卒) 森 昌文氏(81年卒) 天野 玲子氏(80年卒)
田代 民治氏 (71年卒)

【公共事業に携わる技術者として思うこと 

氏 名 : 盛谷 明弘

所 属 : 建設省 四国地方建設局 那賀川工事事務所 所長

E-mail : morit0sw@wm.sk.moc.go.jp

経 歴 :
昭和61年4月建設省採用。土木研究所ダム部水資源開発研究室、総合研究開発機構(出向)、中国地方建設局出雲工事事務所調査設計課、中国地方建設局企画部企画課・河川部河川管理課及び河川計画課、建設経済局調査情報課を経て、平成11年10月より四国地方建設局那賀川工事事務所に勤務。

 

 私は、建設省に採用されて15年目となる土木工学科のOBです。経歴を見ていただければわかるように、私は主に河川事業に関わる業務を担当してきましたが、いただいたスペースの関係からこれまでの経験を逐一ご紹介することは避け、現在の工事事務所での職務の中で感じていることについて述べさせていただきたいと思います。

 最近、私が現在担当している那賀川で計画されている事業について、地域の方々から直接ご意見をうかがう機会がありました。その中で、私の印象に特に残ったのが「専門家」という言葉です。これは、「専門家としての建設省(の技術者)が・・」といった文脈の中で登場する言葉です。この言葉には、建設省に勤務する土木技術者として事業について適切な判断を下すこと、さらにその判断の内容に対する説明責任(アカウンタビリティ)を十分に果たすこと、の2つの期待が込められているのではないかと私は理解しています。

 建設省全体としてもアカウンタビリティ向上は重要な課題ですが、工事を実施し維持管理を行う立場の工事事務所としては緊急の課題となっています。それぞれの地域の状況あるいは事業のこれまでの経緯によってとるべき方策が異なっている中で、今まさに模索しながら実績が積み上げられつつある状況だ、と私は感じています。私が所属する那賀川工事事務所でも、本格的な取り組みを始めたばかり、というところですが、部内での議論、関係機関との打ち合わせ、情報公開ツールの整備などの業務を、工事の実施や施設の維持管理、計画検討のための調査等の従来からの業務と並行して実施しているので、仕事の幅がさらに広がってきています。

 工事事務所としてこうした取り組みを進めることは、地域の将来像を地域の様々な方たちと作り上げて行く過程に参加する、あるいは少なくともそのお手伝いをすることにつながるのではないか、と私は思います。これは、アカウンタビリティの向上は地域のニーズの的確な把握と事業への反映を行うことにつながることから、事業により完成した施設に何を期待するか、どのように活用して地域の発展を目指すか、などの地域での議論に直結するだろうと考えるからです。

 その際に、工事事務所の役割として期待されることは、地域の状況に即してニーズに適切に応えることのできる事業の提案であり、このためには知識と経験に裏付けられた技術力が必要となります。場合によっては、事業の必要性を地域の方々に理解していただいたり、相反する利害の調整を図ったりするという、なかなか容易ではない状況に直面することもあると思います。すべてに個人で応えようとすることは大変難しいことだと思いますが、工事事務所という組織の一員としてそれぞれが力を発揮することにより、組織として難しい課題にも対応することが可能となります。また、こうした経験を積むことが一人一人の力を高めて行くこともつながると思います。

 この文章は平成12年10月に書いていますので、平成13年1月に国土交通省が発足すると組織・業務の形態も変わることから、私の今までの経験がどこまで通用するかはわかりませんが、技術者として公共事業に携わることに興味のある学生の皆さんにとってこの拙文が少しでも参考になれば幸いです。

 


 
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