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先輩の声
三島 徹也氏(83年卒) 松井 保幸氏 (87年卒) 岡本 章司氏(89年卒) 土屋 智史氏(96年卒)
  上田 功氏(90年卒) 北河 大次郎氏(92年卒) 廣瀬 利雄氏(55年卒)
綿谷 昭夫氏 (72年卒) 大野 浩氏(83年卒・故人) 田口 治宏氏(84年卒) 瀬古 一郎氏(90年卒)
水谷 誠(85年卒) 盛谷 明弘(86年卒) 滝本 勝(97年卒) ジェ シュ氏(12年卒)
シタラム氏 (90年卒) ハメド ハドホウド氏(10年卒) ペンヌン ワーンニッチャイ氏(85年卒) ヤニさん(10年卒)
ヨランダ アルベルト氏 (14年卒) ラン ビン(89年卒) 森 昌文氏(81年卒) 天野 玲子氏(80年卒)
田代 民治氏 (71年卒)

【物づくりの原点に戻るために

氏 名: 三島 徹也

所 属: 前田建設工業株式会社 技術本部 技術研究所 研究第1グループ

略 歴:昭和58年4月前田建設工業(株)入社、技術研究所に配属。
平成4年4月、鉄筋コンクリート構造に関する研究で、東京大学より工学博士号を取得。鉄筋コンクリートの構造実験・解析に基づく設計技術、温度応力等に起因する収縮ひびわれ対策技術、施工の合理化技術(特にプレキャスト型枠の適用)などに携わる。

 

 前田建設に入社して18年になりますが、その間ずっと技術研究所に所属しているので、現場に出た経験はありません。この話を聞くと、多くの人が、建設会社のエンジニアが現場を経験していないのは致命的ではないか、といった反応を示します。確かに、建設会社に限らず、発注者であれコンサルタント会社であれ、バランスの取れた土木エンジニアになるためには、計画・設計能力や技術開発能力だけでなく、施工能力なども幅広く身につける必要があるからです。
しかし、そういった意味では私は偏ったエンジニアかもしれませんが、当社の技術研究所の役割から考えると、結構バランスの取れた仕事をしていると思っています。

  建設会社の技術部門に求められる機能を大きく3つに分けると、「技術開発」「基礎研究」「現場へのコンサルティング」が挙げられます。スーパーゼネコンと呼ばれる大手建設会社の多くが、これらの機能ごとに部署を設けており、それぞれの専門分野を強化しています。
しかし、これだと、部署間の配置転換がない限り、エンジニアは専門知識だけしか知らないことになります。
その点、当社クラスの中堅ゼネコンでは、技術研究所の私のようなエンジニアが、これらの3つの機能を同時にこなします。そのため幅の広い技術に触れる機会も多く、また、現場へのコンサルティング業務を通じて、施工技術についても修得することができるのです。

 さらに、当社の場合、営業部門や設計部門の協力を得ながら、開発した技術の売り込みを自分で行います。
また、実構造物への適用が決まった際には、詳細設計業務まで自分で担当し、さらに自分で現場に出向いて施工する場合もあります。
技術開発部門の人手不足のためですが、こういった中堅ゼネコンに所属すれば、基礎研究→応用研究→技術開発→営業→設計→施工という一連の流れを、技術研究所にいながらにして経験することができます。
この実地訓練を通じて、非常にバランスの取れた土木エンジニアに育っていくことができると思います。

 私自身、その恩恵を大いに受けてきました。
例えば、水中にあるRC橋脚をドライアップすることなしに耐震補強する工法を開発するにあたって、基礎研究から施工までを経験しましたが、設計段階では予測が難しい施工上の問題点など多くのことを学ぶことができました。

 昨今、情報化技術の波が押し寄せるにつれ、物づくりの精神が失われつつあると言われています。 しかし、土木の分野は、物づくりを通じて大きな満足感を実感できるという、数少ない業種なのではないでしょうか。私にとって、土木における技術開発は、地球や自然という得体の知れない化け物との戦いです。
そしてそれは、非常に魅力的かつスリリングで、飽きることなく取り組むことのできる対象で有り続けています。

  こういった観点から、専攻学科や就職を検討されている学生さんに、土木業界をあえてお勧めしたいと思います。 「軽薄・短小」と言われる今の世の中に、「重厚・長大」の典型である土木業界の素晴らしさを、ぜひ知ってほしいのです。また、計画から施工までという、最初から最後まで物づくりに一貫して取り組むことのできる中堅ゼネコンの技術研究所も、とても魅力的だということを、書き添えておきたいと思います。

 

プレキャストパネルによる
橋脚の水中耐震補強工法
(プリズムPRISM工法)・→
PRISM:Precast Rapid Intensification System to Manipulate RC Piers

 
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