| 会長挨拶 | 沿革と規約 | 役員紹介 | 会報 | メールニュース | 古市賞・田辺賞 | ホストファミリープログラム | 先輩の声 |
| HOME | 事務局から | リンク | サイトマップ | English | E-mail | 
先輩の声
三島 徹也氏(83年卒) 松井 保幸氏 (87年卒) 岡本 章司氏(89年卒) 土屋 智史氏(96年卒)
  上田 功氏(90年卒) 北河 大次郎氏(92年卒) 廣瀬 利雄氏(55年卒)
綿谷 昭夫氏 (72年卒) 大野 浩氏(83年卒・故人) 田口 治宏氏(84年卒) 瀬古 一郎氏(90年卒)
水谷 誠(85年卒) 盛谷 明弘(86年卒) 滝本 勝(97年卒) ジェ シュ氏(12年卒)
シタラム氏 (90年卒) ハメド ハドホウド氏(10年卒) ペンヌン ワーンニッチャイ氏(85年卒) ヤニさん(10年卒)
ヨランダ アルベルト氏 (14年卒) ラン ビン(89年卒) 森 昌文氏(81年卒) 天野 玲子氏(80年卒)
田代 民治氏 (71年卒)

【運輸行政に携わって

氏 名: 水谷 誠

所 属: アジア開発銀行 トランスポートエコノミスト
E-mail: mamizu@aol.com

略 歴:
昭和60年3月 東京大学工学部土木工学科卒業
昭和62年3月 同大学院修士課程修了
昭和62年4月 運輸省入省
平成元年4月 国土庁計画・調整局調整課主査
平成4年8月 運輸省神戸調査設計事務所技術開発課長
平成5年10月 ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス 地域計画修士課程
平成9年7月 運輸省港湾局計画課補佐官
平成11年7月 運輸省高知港湾空港工事事務所長
平成12年6月 現職

 

 運輸省へ入省してはや13年以上が過ぎましたが、その間さまざまな仕事に携わってきました。運輸省内では主として港湾行政を担当し、様々な港湾政策の立案、個々の港の長期計画やウォーターフロント開発計画づくり、港湾分野の情報化(EDI)の制度設計、経済分析手法の開発などソフト面の仕事が多かったのですが、その他にも、ハード面では、鉄道、道路併用の沈埋トンネルの設計、港湾施設や空港施設の施工管理など、港湾以外の運輸社会資本の整備も担当しました。

 また、運輸省外では、国土庁で多種多様の社会資本の政策調整や事業調整を担当したり、留学中は社会資本整備のバックグラウンドとなる経済学、行政学、地理学を勉強したり、また国際開発金融機関であるアジア開発銀行では、トランスポートエコノミストとして開発途上国における運輸社会資本整備プロジェクトの案件形成や融資に携わっております。

 このように社会資本全般にわたって幅広い知識と経験を積む、特にマクロの政策や戦略づくりに携わることができたのは、官公庁(運輸省)に就職したからこそだと思っております。

 多くの社会資本のうち、運輸省が担当している運輸社会資本(港湾、空港、鉄道)は、他の社会資本と比べて大きな特徴があります。

 一つは、経済を支える社会資本であるということです。天然資源をほとんど産出しない我が国においては、貿易とそれを支える輸送が経済の生命線です。運輸社会資本を利用して運ばれるものは、貨物か旅客ですが、特に貨物の動向は製造業者の生産動向、すなわち経済動向に密接に関連しております。このため、運輸社会資本の計画づくりには、交通計画以外にも、経済、産業、物流などの豊富な知識が必要です。

 二つめは、運営される社会資本であるということです。運輸社会資本は不特定多数の人が自由に利用できる社会資本(一般の道路、公園など)ではなく、特定の輸送事業者(船会社、エアライン、鉄道事業者)が利用する社会資本です。このため、特定の運営事業者(ターミナルオペレーター、荷役業者など)による運営が不可欠です。他の多くの社会資本のように、整備した後は維持管理さえしていれば事足りるという訳にはいきません。こうした輸送事業者や運営事業者は民間企業であることが多いため、整備者である行政サイドと運営者や利用者である民間企業との間の制度設計が不可欠ですし、またそれに関連して民間の企業経営の知識も必要となります。

 三つめは、港湾と空港に関してですが、国際インフラであるということです。港湾と空港は、国際輸送市場において、世界、特にアジア諸国との熾烈な競争と協調のうえに成り立つ社会資本です。このため、その戦略づくりにおいては、常に国際的な視野と英語力が必要です。

 四つめは、港湾に関してですが、面的に整備される社会資本であるということです。一般的に、線的に整備される社会資本と比べ、施設配置計画、土地利用計画など計画が複雑で困難であることが多い上、陸の論理(陸の利用からみた最適配置計画)と海の論理(海の利用からみた最適配置計画)との調和も考慮しなくてはなりません。このため、都市計画の知識とともに、港湾施設の配置計画の知識(特に波浪、船舶航行性能、港湾施設の設計施工、施設利用者の利用形態等)も不可欠です。

 このように運輸社会資本の整備は複雑かつ困難で、また多種多様の知識が必要ですが、一方で経済社会に対する影響力も大きく、大変やりがいのある仕事です。就職、また進路を考えておられる皆さん、我が国経済を支える運輸社会資本整備の一翼を担ってみませんか。お待ちしております。

 


 
 Copyright(c)2008 東大土木同窓会 All rights reserved.