・学生時代の学び -交通工学-
東大ではどんな研究をしていましたか?
私は清華大学からの留学生として東京大学に来ました。当時、土木工学専攻では西野文雄先生が年間20人前後の留学生を受け入れるプログラムを始めた時で、私はそのプログラムの最初の留学生でした。清華大学の時は構造工学が専門でしたが、東大に来てから交通工学に専門を変えましたので、最初の半年間は、研究室と下宿を往復してひたすら勉強に打ち込みました。静的交通ネットワークのモデリングから始めて、すぐに動的モデルの方に移行しました。ちょうどその頃に桑原雅夫先生(1981年修卒)、赤松隆先生(1985年卒)がいらっしゃったので、3人でトライアングルのようにタグを組み、一緒に研究をしました。現在でも私が取り組んでいる動的交通モデルは、世界の最先端を行く研究テーマです。
・たまたま留学した日本で出会った楽しい研究室
なぜ留学先に日本を選ぼうと思ったのですか?
実は自分の選択ではなかったのです。その頃の中国は学問のレベルが最先端ではなかったので、清華大学では優秀な学生に対して留学を勧めていました。私は自分の選択ではなく大学から「交通工学を学んで来なさい」といわれて東京大学に来ましたが、今思えばとても良い結果になったと思います。
研究室生活で一番楽しかったことは何ですか?
楽しかった思い出はたくさんあるので一番を決めるのは難しいのですが、研究室のメンバーと土木学会で沖縄に行ったり、紅葉の箱根を訪れたりしたことでしょうか。研究室のメンバーとはみな距離感なく、寝食を共にする楽しい仲間でした。妻もそんな研究室のメンバーの一人でしたので、東大での思い出は格別です。それから、先生方もよく学生の面倒をみてくれました。
・ BE A LEADER 世界にネットワークを
社会基盤の学生にメッセージをお願いします
私「リーダーになれ」ということです。日本一の、そして世界にも通用する東京大学という名前を背負う学生は、学術のみならず、将来の政治経済といった分野においてリーダーになるでしょう。私が期待するのは、日本に限ったリーダーではなく、世界のリーダーなのです。そのためには、まず本を書くことです。私の書いた本はアメリカや中国で出版されています。そして、次に日本以外の人々ともたくさん交流して、共働しなくてはなりません。世界中の人々のネットワークというのは将来、あなた方をさまざまな場面で助けてくれることでしょう。
例えば、私は世界中に「アカデミックなネットワーク」を持っています。私はこれまで本当にたくさんの学生を教育してきました。その学生たちは今、世界中で教鞭を執っています。たとえばミシガン大学、ワシントン大学、ノースカナダ大学など北アメリカの主要な大学では私の教え子たちが教授になっています。そのほかにもオーストラリア、韓国、台湾、など36の大学で私の教え子たちが活躍しています。中国では100名を超えるドクターを指導してきました。今ではそうした教え子たちが、さらに学生を受け持つようになっています。
つまり今の私は、たくさんの孫弟子の「アカデミックなおじいちゃん」になっているのです。
|