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Vol.39 10月号 別冊
新工学部長・工学系研究科長 北森武彦先生インタビュー

 2010年度から工学系研究科長・工学部長に就任された応用化学専攻の北森武彦教授に、これから工学部はどのように変わっていくのか、今の工学部の課題と強みについて語っていただきました。

Q.工学部長・工学系研究科長になられての抱負を教えてください

 私は、20年、25年先の科学技術立国としての日本が危ない、という猛烈な危機感を持っています。今世界中の大学で最優秀層の教員・学生の奪い合いが起きていて、日本だけが取り残されている。現在の東大工学部・工学系研究科は最優秀層の教員・学生を獲得する競争に参加できていません。もちろん、東大生は優秀ですよ。けれど、世界には優秀な人がたくさんいて、東大生も抜かれるかもしれない。今手を打たないと手遅れになります。

北森 武彦教授
工学系研究科長・工学部長
応用化学専攻

Q.優秀な人材を獲得するために東大が取り組むべき課題は何ですか?

 1 点目は博士を増やすことです。諸外国では、科学技術に携わる人はどんな職種に就いていてもほぼ博士号を持っています。これは、テーマを与えられ、その中から課題と問題を整理して、計画を立て、結果が出なければもう一度研究の計画を立て直す……ということを繰り返す中で新しい技術を扱うスキルを身に付けた人が博士だからです。
 今まで日本は海外をお手本にして追い付け追い越せで来たから、博士がいなくても理解力と応用力があればよかった。しかし追い付いてしまった今、欧米の企業・大学同様に自分たちで技術を創造しなければならなくなった。それには博士のスキルが必要なのです。
 博士課程に進むと就職できない、としばしば報道されますが、東大の工学系研究科は博士課程修了者の95%が修了後5 年以内に定職に就いている。その事実は報道されないんですよ、面白くないから(笑)。それに諸海外では東大の博士は必要とされている。日本に限らず海外にも目を向け、いろいろなところで活躍してほしいですね。

 2 点目は国際化です。イギリスのTimes 紙の大学ランキングでは、東大全体は22位だけれど東大工学部は6 位( 工学部ランキング)。研究現場にいる立場として、研究だけなら欧米の名だたる大学、例えばMIT などにも負ける気がしないので、むしろ私は6 位では不満なんですよ。
 6 位にとどまる原因は「国際性」です。外国人教員が何人いるか、ということが指標の中に入っているんですよ。外国から来た先生も不自由なく教育・研究活動しやすい環境を整える必要があります。競争力はありますが、今の工学部に足りないのは、海外の教員・学生を引き付ける「国際求心力」です。

Q.読者にメッセージをお願いします。

 「研究」とはどういうものなのか、そして博士とはどんな類の人なのか。いろんな機会を通じて見たうえで、その人たちが将来どう活躍していくか、日本だけでなく世界中の人を見たうえで、自分の将来を決めてほしいですね。――要は博士課程に来た方がいいよってことですよ(笑)

(インタビュアー 本田 信吾)

東京大学工学部・大学院工学系研究科 広報室学生アシスタント
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