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Vol.37 2010年 6月号 原子力国際専攻特集 |
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Vol.37 6月号
原子力の正しい利用を目指して
原子力国際専攻の博士課程1年に在籍中の堀尾健太さんは学内での研究のみならず学外の機関(日本原子力研究開発機構)での共同研究や海外でのインターンシップに積極的に参加されています。いつもの先生方への取材記事とは少し異なりますが、興味深い研究内容だけでなく、進路や大学での勉強方法の参考にもなると思います
Q.現在研究されている内容について教えて下さい。
研究分野を一番わかりやすい単語で表すと「核不拡散」になります。原子力と核は同じ技術を指し、英語ではどちらも nuclear ですが日本語では使いわけられていて原子力が平和利用、核が軍事利用になります。核不拡散とは原子力の技術を軍事転用させないことであり、そのための技術、政策について研究しています。
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堀尾健太さん
工学系研究科原子力国際専攻
博士課程1 年
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Q.核不拡散を研究しようと思われたのはなぜですか?
学部時代のテーマは政策の経済性の評価で原子力の導入による効果を計算で求めていましたが、もう少し国際的なことをやりたいと思い研究グループを変えました。修士の初めには途上国の原子力利用に興味があったのでカンボジアを支援している
NPO の活動に参加したり、オーストリアのウィーンにある国際原子力機関(IAEA)へ4か月のインターンシップに行ったりしました。その経験があったうえで、原子力利用において最もキーポイントになりかつ自分がサポートできるのが核不拡散であるという結論に至りました。
Q.なぜ博士課程に進まれたのですか?
実は研究者になろうと思って博士課程に進んだわけではないです。これも IAEA でのインターンシップの経験が大きいのですが、欧米と日本とでは博士号取得者に対する評価が大きく異なり、修士だけでは出世できない例もあります。博士号を持っているということはその道のエキスパートとして見てもらえるということであり、国際的に活躍したいのなら必要と考え進学しました。博士課程を修了したら
IAEA に再び、今度はスタッフとして行きたいと考えています。
Q.読者へメッセージをお願いします。
博士課程進学に関してもっとポジティブに考えてほしいということと、研究に限ったことではありませんが、自分の軸をはっきりと持って欲しいですね。私の場合、テーマを核不拡散に決めた後、どのように携わっていきたいのかを考えました。その時に見えてきたのはやはり自分は原子力技術をしっかりと分かった上で国際政治や政策決定に技術のわかる専門家として関わっていきたいというものでした。軸が決まれば勉強すべき内容も分かってくると思います。
また、まずは大学の勉強をしっかりとやることも重要だと思います。これは自分の経験からなのですが、体系的な知識を得て、自分の専門を固めることは学生のうちにしかできないことだと今改めて思っています。
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東京大学工学部・大学院工学系研究科 広報室学生アシスタント
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