久田:将来的には病院に来た患者さんの心電図、超音波エコー、MRI、CT、血液検査などのデータを担当医が「心臓シミュレーションセンター」に送ります。すると翌日にはその患者さんのバーチャル心臓が完成し、計算機上でその心臓に様々な治療法を試して、幾つかの治療オプションと共に最も効果のある方法を担当医に戻すことで最適な医療に貢献したいと考えています。
特にやり直しのきかない手術や、従来困難であった突然死の予測等、これまでの医療の限界を超えた新たな診断、治療の方法を創出します。さらに創薬や医療機器開発などへも応用可能で、既に我国初の植え込み型除細動装置の開発では画期的な貢献を果しました。
膨大な量の計算が必要になる為、バーチャル心臓を動かすには、現在柏キャンパスにある300コアの並列計算機(久田先生写真背景)を使って7、8時間という計算時間がかかります。高精度化、高速化を図ってあと、2、3年のうちに実用化することが目標です。
杉浦:医療機器が高度になればなるほど沢山の情報が得られるようになってきましたが、それをどう診療に生かすというのが現場の抱えている課題です。端末で見たい所をクリックしたらフォーカスできるようになるなど、メーカ、医療機関とも共同で使いやすい機器にする為に研究を進めています。
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コンピュータの中に再現された正常心臓(上)と心筋梗塞心臓(下)
上では心室の収縮力(赤色で表示)が強く血液を勢い良く拍出しているが、下では血管が詰まり、心筋に酸素が行かなくなっているため(茶色領域)拍出も弱い。
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