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駒場物性セミナーの案内ページ

駒場の物性グループでは定期的にセミナー開いています.このセミナーは,駒場の物性理論グループのスタッフとその大学院生が主な聴衆です.東大の駒場キャンパスの物性理論グループには固体物性論から統計力学まで幅広い分野のスタッフが在籍しており,研究室の垣根にこだわらず,緩やかに結合したグループ体系でこのセミナーを運営しています.あえて言えば,純粋に学問的な興味だけで集い,そして駒場らしいセミナーを目指しています.このセミナーはオープンですので,どなたでもご自由に参加して,議論に加わってください.

世話人一同

次回の物性セミナー

2024年度冬学期物性セミナーは9月27日から始まります。(リストは こちら)

2024-12-13

2024年 冬学期 第7回 物性セミナー

 講師 井口 敏 氏 (東北大 金属材料研究所)

 題目 磁気光学効果が検出する有機反強磁性体の交替磁性

 日時 2024年 12月 13日(金) 午後4時50分-6時15分程度

 場所 Zoom によるオンライン配信

物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)

登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

近年,交替磁性体と呼ばれる少し不思議な磁性体が注目されている.これは反強磁性体の一種であるが強磁性体のように振る舞うこともあるため,磁性が弱い有機物質でも新しい物性開拓が期待される.また,今までそう認識されていなかっただけで,既知の反強磁性体にもそれに該当するものが多い.有機反強磁性ダイマー-モット絶縁体 κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Cl (κ-Cl) も同様で,1990年代には知られていたが,交替磁性と名前が付く前,2019年に中らが[1]その特徴的なスピンバンド構造とそこからスピン流が発生し得ることを理論的に示唆した.その最大の特徴はσk_x k_y型に分裂した異方的なスピンバンドである.さらにスピン軌道相互作用が働けば,反強磁性体であるにも関わらず異常ホール効果や磁気光学カー効果(MOKE)を生じる可能性も指摘された[2].そこで,我々はκ-Cl の交替磁性を実証すべくMOKEスペクトルの測定を行おうとした.が,そこには問題が山積みだった.まず,この物質は直方晶なのだが,異方性物質でのMOKEの測定法があまり確立されておらず,さらに,仮にMOKEを測定できたとしても,それから非対角の光学伝導度/誘電率を求める手段が不明であった.そこで我々は,古典的ではあるが,正確に異方性を考慮した物質中や反射時の光に関するMaxwell方程式を解くことでそれらを解決し[3],κ-Clに適用した.その結果,κ-Cl の交替磁性を示唆するMOKEだけでなく,ピエゾ磁気効果との関連や,反強磁性のNéelベクトルと強磁性の磁化ベクトルの対応関係を暗示する興味深い非対角光学伝導度スペクトルを得た[4].

参考文献:

[1] M. Naka et al., Nat. Commun. 10, 4305 (2019).

[2] M. Naka et al., Phys. Rev. B 102, 075112 (2020).

[3] S. Iguchi et al., JPS Conf. Proc. 38, 011148 (2023).

[4] S. Iguchi et al., arXiv.2409.15696.

宣伝用ビラ

KMB20241213.pdf(11)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

 これまでのセミナー

世話人

  • 加藤雄介
  • 塩見雄毅
  • 福島孝治
  • 簔口友紀

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最終更新時間:2024年09月25日 02時11分26秒