ようこそ!東京大学
駒場Ⅰキャンパス 橘高研究室へ

私たちの研究室では超伝導や量子臨界現象、磁気的フラストレーション効果など固体中の多数の電子が引き起こす新奇な量子現象の研究に取り組んでいます。特に、極低温で磁場方位を精密制御しながら熱力学量(比熱、磁気熱量効果、磁化、磁歪など)を高精度に測定する実験に力を入れています。0.1 K以下の極低温、最大10万気圧の圧力下、最高7 Tの磁場中という極限環境下でも角度分解磁場中測定が可能な装置など、オリジナルの装置開発も進めています。独自の実験アプローチから物性物理学の重要課題に挑みつつ、誰もが予想しない新現象の発見を目指しています。




Current research projects

[2025年度-]JST創発的研究支援事業

方位敏感な機能物性の開拓と革新的冷却技術の創出
【2024年度(5期生)】

[2023-2027年度]基盤研究(B)(一般)

多次元磁場空間エントロピー測定による新奇量子現象の解明』【代表】

[2023-2027年度]学術変革領域研究(A)
「アシンメトリが彩る量子物質の可視化・設計・創出」

精密物性測定によるアシンメトリ量子物質の新機能開拓』【分担】

[2024-2026年度]基盤研究(B)(一般)

光量子センシング超高圧下磁化・比熱測定法の開発と量子相転移への応用』【分担】

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( Last updated: Dec. 24, 2025 )

News

2025.12.24
UBe13の非フェルミ液体的性質に関する論文がPhys. Rev. B 112, 245157 (2025)に掲載され、Editors' suggestionに選ばれました。東大物性研、中央大、名工大、JAEA、立命館大、北大の研究グループとの共同研究で、筆頭著者は東大物性研の清水悠晴氏です。
2025.12.22
PrIr2Zn20の磁歪測定に関する論文がPhys. Rev. B 112, L241113 (2025)に掲載されました。中央大、広島大、愛媛大、都立大の研究グループとの共同研究の成果です。
2025.12.18
2026年1月6日(火)-8日(木)に名古屋工業大学で開催される学術変革(A)「アシンメトリ量子」令和7年度領域全体会議で橘高が口頭発表、戸塚(D1)がポスター発表を行います。
2025.12.18
Photo Galleryのページを更新しました。
2025.12.16
2025年12月15日(月)-16日(火)に理研・和光で開催された学術変革領域研究(A)「相関設計で挑む量子創発」2025年領域会議で神田・戸塚(D1)がポスター発表を行いました。
2025.12.12
Sr2RuO4の磁歪測定に関する論文がJ. Phys. Soc. Jpn. 95, 014704 (2026)に掲載されました。中央大、東大物性研、NIMS、MPI、立命館大の研究グループとの共同研究の成果です。
2025.12.06
国際会議REQM2025のポスター発表で戸塚さん(D1)がGold Awardを受賞されました。おめでとうございます!



Recent topics

【 2025年12月 】磁場角度分解磁歪・熱膨張測定から探るPrIr2Zn20の磁場誘起相
2025年11月のTopicsの図1
非クラマース二重項を基底状態に持つ立方晶化合物PrIr2Zn20に対して、磁場角度分解磁歪・熱膨張測定を行い、磁場方向による多極子秩序の変化を詳細に調べました。その結果、[001]方向磁場下で二重異常を示す熱膨張挙動を確認し、これまで報告されていた磁場誘起相(A相)の存在を支持するとともに、磁場角度依存性の解析からO20型四重極モーメントがA相の安定化に重要な役割を果たしている可能性を指摘しました。特に、磁歪や臨界磁場の磁場角度依存性が自由エネルギーに基づく理論モデルの予測と良く一致することを示し、多極子秩序の解明に迫る新たなアプローチとして有用であることを実証しました。本研究成果をまとめた論文はアメリカ物理学会が刊行する学術雑誌「Physical Review B」に掲載されました
【 2025年12月 】Sr2RuO4における高精度磁歪測定によるFFLO状態の探索
2025年11月のTopicsの図1
Sr2RuO4の超伝導秩序パラメータに関する理解は近年大きく転換し、強いパウリ常磁性効果を伴うスピン一重項超伝導体であることが有力視されています。本研究では、高品質な単結晶試料を用いて、磁場角度分解磁歪測定および熱膨張測定を高分解能で実施しました。その結果、ab面内磁場下での超伝導一次相転移に伴う顕著なヒステリシスと、10-8オーダーの微細な格子応答を検出しました。特に、上部臨界磁場直下で磁歪係数に現れるコブ状の異常や、磁場角度依存性における二重ピーク構造は、Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov (FFLO)状態の出現を示唆する可能性があります。しかしながら、これらの異常は一次転移の広がりによる可能性も否定できず、最近のNMR測定で報告されたFFLO相境界とは定性的に異なる振る舞いを示しており、今後さらなる実験的・理論的検証が求められます。本研究成果をまとめた論文は日本物理学会が刊行する学術雑誌「Journal of the Physical Society of Japan」に掲載されました
【 2025年1月 】量子臨界性の新指標「回転グリューナイゼン比」の提案
2025年1月のTopicsの図1
熱ゆらぎのない絶対零度の量子臨界点近傍では、量子ゆらぎによって新奇な基底状態や励起状態が創出され、それらの発現機構は物性物理学における重要課題となっています。こうした現象を探索・解明する上で、磁場や圧力といった外場は量子ゆらぎを制御するための有効な要素であり、熱力学量の比で定義されるグリューナイゼン比は量子臨界指数を決定するための絶好のプローブとして知られています。本研究では、外場の「強さ」だけでなくその「方位」も物性を制御する要素になり得ることに着目し、新たな量子臨界性の指標として「回転グリューナイゼン比」を提案しました。この指標は、異方性の強い系における量子臨界性の研究に特に有効です。また、外場が「磁場」の場合の回転グリューナイゼン比は、磁場の回転に伴う磁気熱量効果を測定することで得られ、従来の磁気グリューナイゼン比と相補的な役割を果たします。実際に、擬カゴメ近藤格子CeRhSnおよびCeIrSnを対象に回転グリューナイゼン比の測定を行ったところ、いずれの物質でも、磁化容易軸方向の磁場成分によって量子臨界性が急激に抑制され、その挙動は同一の臨界指数に基づく普遍的なスケーリング則に従うことを明らかにしました。その臨界指数は従来の磁性体の理論で予測される値よりも小さく、幾何学的フラストレーションを伴う近藤格子系特有の量子臨界性を反映している可能性が期待されます。本研究成果をまとめた論文はアメリカ物理学会が刊行する学術雑誌「Physical Review B」に掲載されました


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〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1

所属

東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系 / 教養学部 統合自然科学科

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