Topics before 2010 (in Kyoto Univ.)

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( Last updated: Sep. 06, 2024 )


 
【 2010年5月 】一軸性圧力によって誘起されるSr2RuO4の高温超伝導相
Sr2RuO4の超伝導の一軸性圧力効果を明らかにすることに初めて成功しました。Sr2RuO4c軸方向に僅か0.2 GPaの弱い一軸性圧力を印加すると、驚くべきことに、1.34 KだったオンセットTcが3.2 Kにまで倍増することを明らかにしました。この効果は、バンド計算やEhrenfestの関係式からこれまでに予想されていた一軸性圧力効果と質的・量的に異なっており、Sr2RuO4が異方的結晶歪みの有無によりTc = 1.5 KとTc ~ 3 Kという2つの超伝導相を元来有していることを示唆しています。この結果はPhysical Review B誌に掲載されました



【 2009年11月 】Sr2RuO4の超伝導上部臨界磁場角度依存性
Sr2RuO4はスピン三重項超伝導体であることが確実視されていますが、磁場をab面方向に印加した際に観測される超伝導上部臨界磁場(Hc2)抑制の起源が未解決問題として残されています。我々はHc2の抑制が起きる条件を明確にするために、ベクトルマグネットを用いて非常に精密に磁場方向の制御を行い、交流磁化率をプローブとしてHc2の温度・磁場強度・磁場方位依存性を調べました。その結果、『ab面と磁場方向の間の角度が5度以内になったときにHc2が顕著に制限されること』や『Hc2の制限は低温だけでなくTc近傍から起きていること』などを明らかにしました。この結果はPhysical Review B誌に掲載されました



【 2009年10月 】Sr2RuO4-Ru共晶体における3-K相超伝導の一軸性圧力効果
Sr2RuO4‐Ru共晶体ではSr2RuO4の超伝導転移温度Tc(= 1.5 K)より約2倍高い3 Kからノンバルク(3-K相)超伝導を示しますが、そのTc上昇の起源は未解明です。私たちは、Ruが析出したことによるSr2RuO4の異方的な結晶歪みがTcの上昇に寄与していると考え、3-K相超伝導の一軸性圧力効果を調べました。その結果、いずれの一軸性圧力下においても最低温での反磁性磁化が上昇することを初めて明らかにし、その上昇はab面方向の一軸性圧力下で顕著に大きいことを示しました。これらの特性は3-K相超伝導のメカニズム解明に繋がり得る重要な性質です。この結果はJournal of the Physical Society of Japan誌に掲載されました



【 2009年5月 】 Sr2RuO4-Ru共晶体で起きるノンバルク超伝導の空間発達過程
純粋なSr2RuO4の超伝導転移温度は1.5 Kですが、Ru薄片がSr2RuO4単結晶中に規則正しく析出したSr2RuO4-Ru共晶体では3 K付近からノンバルク超伝導が起こります。我々は、Ru薄片の向きとSr2RuO4の結晶軸の関係が明確に分かるように試料を切り出し、その試料を用いて共晶結晶で起きるノンバルク超伝導の印加磁場強度・方向依存性を調べました。その結果、ノンバルク超伝導は、オンセット温度付近(~3 K)ではSr2RuO4のRuO2面に沿って広がり易く、Sr2RuO4の超伝導転移温度(1.5 K)に近づくにつれて試料全体に広がっていくことを明らかにしました。この結果はJournal of the Physical Society of Japan誌に掲載されました



【 2008年6月 】 Sr3Ru2O7-Sr2RuO4共晶体中のSr3Ru2O7領域で起こる多段階超伝導転移
Sr3Ru2O7-Sr2RuO4共晶体中のSr3Ru2O7だけの領域で弱い多段階超伝導転移が起きていることを明らかにしました。また、交流磁化率測定結果が『バイレイヤーのSr3Ru2O7の中に挿入された数層のモノレイヤーRuO2層が超伝導になっている』というモデルで良く説明できることを示しました。この結果はPhysical Review B誌に掲載されました