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( Last updated: Sep. 03, 2024 )

【 2022.10.09 】希釈冷凍機のリーク修理

2022年9月、研究室の主力装置「ベクトルマグネット」のクエンチ（超伝導破壊）と「希釈冷凍機」（Kelvinox AST Minisorb）のヘリウム混合ガスの汚染＆IVC内リークという3大トラブルが立て続けに発生しました。

特に、希釈冷凍機は既に販売終了になっている機種で、メーカーサポートも切れているため、研究室にとっての大問題です。回転可能な希釈冷凍機は現在では非常に珍しく、代えの効かない装置で自分たちで何とか対応するしかありません。混合ガス汚染はクライオポンプ2台と窒素トラップを駆使してクリーニングに成功しました（希釈冷凍機はソーブタイプのために混合ガス用のメカニカルポンプが無い）。クライオポンプ1台では窒素トラップにポンピングパワーで負けた（ガスを回収しきれなかった）ので、念のために2台準備しておいて正解でした。

リーク問題の方は、怪しそうな古いインジウムシールを付け直してみましたが、ヘリウム温度になるとIVC内にヘリウムガスが侵入して4.2 K以下に冷やすことができません。最悪の事態が頭を過る中、本腰を入れて1993年製のリークディテクターで必死にリーク箇所を探したところ、ついに1K potに繋がるヘリウム取り込み口のステンレスチューブにリークがあることを発見しました。折れ曲がったチューブの内側にエタノールをかけるとリーク反応が一次的に消えたため、細かい場所まで特定することができました。

さて、問題はどのような方法でリークを塞ぐか、です。研究室立ち上げ直後の極低温実験装置が稼働していない期間に、河野助教を中心にプローブ作成などに力をいれており、幸いなことに銀ロウ付けの経験値は上がっていました。今がその経験を活かすときと考え、失敗の許されない希釈冷凍機の銀ロウ付けにチャレンジすることにしました。念のために練習用のチューブで上手く銀ロウ付けができることを確かめ、いざ本番！パワートーチの火炎を巧みに操り、河野助教が見事成功させてくれました。肝を冷やすトラブルでしたが、何とか解決に至りました。（めでたしめでたし）

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