東文研セミナーの開催

 2012年11月16日、オマーン国ワクフ・宗教事項省グランド・ムフティー補佐官のカフラーン・ハルーシー博士を講師に迎え、東京大学東洋文化研究所で東文研セミナー「Fatwa at a Glance」が開催されました。

 講演の冒頭、ハルーシー博士は、ファトワー(法的見解)、ムフティー(法的見解の提示者)など、講義を理解するために
必要な諸用語を説明しました。そしてファトワーは個人的見解であり法的強制力は有さないものであること、特定の時間、
場所に限定されるものであり、過去のファトワーを現在にそのまま適用することはできないことなどの「ファトワーの性質」、また「ファトワーの題材」とともに、ムフティーは自分一人ですべてを解決するのではなく、脳死などの専門外の領域についてはその専門家に尋ね、十分な判断材料を得たのちにファトワーを発行するなどの「ファトワー提示の手続き」を説明しました。

 そして同一の問題に対して法学者ごと、あるいは地域ごとに提示されるファトワーの内容の違い、あるいはオマーン国で
提示されるファトワーの特徴は、ムフティーたちの宗教的態度や地域ごとの文化的特性などから説明できるとして、オマーン国の例を取り上げて説明しました。

 質疑応答の時間では、裁判官とムフティーとの関係、またファトワー提示における各法学派の立場への配慮など、
多岐にわたる質問が出されました。

ダウンロード

PDF