主要研究テーマ
生物は様々な防御機能を獲得し生命維持を図っています。「生物が外的刺激やストレスに対して、どのように対応するのか?」我々の研究室では、この関係を理解する上で重要となる有機分子、タンパク質、金属などを分析し、生命現象を解明していくことを目標にしています。具体的には、微生物や植物を対象に、分子生物学的手法、タンパク質化学的手法、免疫化学的手法、各種分光法、電気化学的手法などを用いて研究を進めています。また、それと同時に、生体試料の様々な形態に応じた効果的な分析法の開発も行っております。 1. 有害金属に対する生物の解毒機構の解明 カドミウムや水銀などの重金属は多くの生物にとって有害であり、生育阻害が引き起こされます。それに対して植物や一部の微生物は「ファイトケラチン」と呼ばれるキレーター物質を合成し、無毒化をはかっています。一方、軽金属であるアルミニウムも様々な生物に対して悪影響を及ぼすことが知られています。こういった現象自体は以前から知られていますが、金属の毒性発現メカニズムや、それに対する解毒機構の詳細についてはまだわからないことがたくさんあります。本研究室ではこれらを明らかにすることにより、将来的に有害金属に強い植物の育種やファイトレメディエーションなどへの応用を目指しています。 最近の主な研究テーマ ・ファイトケラチンによる重金属耐性の解析 ファイトケラチン(PC)
ファイトケラチン合成酵素(PCS)
・タチスベリヒユ中のカドミウムの分布およびその化学形態 高等植物におけるカドミウム(Cd)の吸収、輸送、蓄積機構を明らかにするため、タチスベリヒユ(Portulaca oleracea L.)を用いてCdの分布およびその化学形態を分析しています。ICP発光分析による部位別のCd分析では、Cdは根に高濃度で存在していることが明らかになり、根におけるCd分布をμ-XRF(蛍光X線分析)を用いて、組織・細胞レベルで調べました。図には凍結状態を維持した状態で測定した植物の根の切片(40 mm厚)のXRFイメージを示しています。Feが表皮に蓄積しているのに対し、Cdは皮層および中心柱での蓄積が観察されます。
さらに、化学形態分析では凍結乾燥サンプルのXANES測定を行った結果、いずれの部位においてもCdは主に酸素原子に配位していると考えられます。(左が標準試料、右が植物試料)
現在、Cdを配位している化合物をHPLC-ポストカラム蛍光分析法を用いて分離分析中です。
これまでの研究成果
2. 生命現象解明のための新たな分析法の開発 生物に含まれる物質はその化学的性質が多様であるだけでなく、存在量がごく微量しか含まれないものから大量に存在するものまで濃度域が広く、微量成分の分析は多量に存在する夾雑物質の妨害を受けることが少なくありません。すなわち、標準的な分析方法をそのまま応用したのでは、目的とする成分を効率的に分析することは困難です。本研究室では、分析のニーズに応じた新たな分析手法を確立し、それによって生命現象を解明することを目指しています。 最近の主な研究テーマ ・ポストカラムHPLC法による金属キレーターに選択的な分析法の開発 重金属汚染土壌でのカドミウムや水銀、酸性土壌において溶出してくるアルミニウムなどの有害金属から身を守るため、あるいは鉄などの必須微量金属を効率的に取り込むため、植物をはじめとする生物は様々なキレーター(配位子)を合成し、蓄積あるいは分泌しています。生物と金属の関係を知るためにはこれらキレーターの分析が欠かせません。そこで、本研究室では、HPLCのポストカラム法によって、生体内に含まれる様々な夾雑物の中からキレーターだけを選択的に高感度で分析する手法を開発しています。 ポストカラムHPLC法
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