シリア正教会の音楽の伝統:歴史と現状

特別講演会

シリア正教会は東方教会の一つで、その信徒は今日のトルコやシリアそしてイラクの国境が接する地域に暮らしてきた。その音楽の伝統の主要部分はシリア語の典礼聖歌であり、聖エフレム(4世紀)などの聖人たちによって歴史を通じてその根幹が創られ、教会や修道院で長く受け継がれてきた。しかし、第一次大戦中の1915年に、信徒が多く住むトルコ南東部で起きた虐殺事件(シリア語で「セイフォー」)のために、信徒たちの多くはディアスポラ状態に陥り、聖歌の伝統も各地へと広まり、現在はトルコ、シリア、レバノンなどだけでなく、スウェーデンやドイツ、アメリカ、さらにはオーストラリアへと広がっている。この発表では教会についての簡単な紹介から始めて、その聖歌の歴史、そして現在、ディアスポラ状態にある共同体内での伝統の維持・継承についてお話する予定である。

講師:イーサー・ハビール
    (シリア正教徒合唱団指導者)

1967年ベイルート(レバノン)生まれ、シリア正教徒。一族の出身地はトルコ南東部の都市ミディヤットで、1915年、祖父の代でレバノンに移住。レバノンおよびシリア北東部のカーミシュリーで育ち、1986年からスウェーデン在住。弁護士であり、かつシリア正教徒のコミュニティーで音楽活動にも従事している。 幼少時から助祭として教会のミサや聖務日課に参加し聖歌等を覚え、1983年には音楽を学び始めた。現在、中東楽器によるアンサンブルの伴奏で世俗歌謡も宗教歌謡も歌う、シリア正教徒60名ほどによるアマチュアの合唱団を指導・指揮し、スウェーデンだけでなく米国やレバノンでもコンサートを行っている。

日時 
2015年2月21日(土)16:30ー18:00
会場 
東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
使用言語 
英語
そのほか 
入場無料,事前申込不要
問い合わせ先 
東京大学中東地域研究センター
03−5465−7724
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