江澤雅彦 (Motohiko Ezawa)              所属: (東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻)
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研究概要  1.トポロジカル原子層物質: 2.バレートロニクス: 3.ディラック電子系: 4.スカーミオン: 5.高次トポロジカル絶縁体: 6.量子コンピュータと量子機械学習: 7.新規量子ビット提案:
研 究 概 要

(VI) 量子コンピュータと量子機械学習

★ 電気回路による量子計算のシミュレーション★

電気回路でキタエフ・トポロジカル超伝導体をシミュレートする事により、マヨラナ状態を生成できる事を示しました[PRB 100, 045407 (2019) ]。また、このマヨラナ状態をブレイドする事により、トポロジカル量子計算をシミュレートできる事を示しました[PRB 102, 075424 (2020)] 。2020年11月から2026年3月まで戦略的創造研究推進事業( CREST )「トポロジカル材料科学の構築による革新的材料・デバイスの創出」(研究総括:上田正仁教授)に採択され、 「電気回路によるトポロジカル量子計算方法の創生」と題して研究代表を務めています。また、キルヒホッフ則がシュレーディンガー方程式の形に書き直せる事[PRB 100, 165419 (2019) ]から、伝送線路を用いてユニバーサル量子計算をシミュレートできる事を示しました[Phys. Rev. Research 2, 023278 (2020)]。また、LC共振器の静電容量やインダクタンスを時間的に制御する事によっても、ユニバーサル量子計算をシミュレートできる事を示しました[Phys. Rev. Research 3, 023051 (2021)]。

★ 量子ニューロンとパターン認識★

ニューロンは機械学習の基本的な模型であるニューラルネットワークの構成要素です。ニューロンはそれぞれが重みという内部パラメータを持っており、それと入力信号の内積をとり、その結果に関数Φを作用させる事で出力をします。この内積をとる操作は量子コンピュータで実行可能です。

応用として、白黒画像のパターン認識を量子コンピュータで実行する方法を提案しました。例として数字やアルファベットに対して二種類のフォントを定義し、その類似度を評価しました[Phys. Rev. Research 3, 023051 (2021)]。

更に、波動関数の位相自由度を色相環の角度に対応させる事により、カラー画像の類似度を判定するアルゴリズムを提案しました。

★ 変分量子サポートベクターマシーン★

サポートベクターマシーンは機械学習の最も基本的な模型の一つです。下図に示すように、例えば、赤と青の点を直線で分類するモデルです。この直線は線形方程式を解く事により決定する事ができます。線形方程式はHHLアルゴリズムを用いる事で量子コンピュータで解く事が可能です。しかし、HHLアルゴリズムは多数の量子ゲートを必要とするために、現在の量子コンピュータでは実行できません。そこで、少ない量子ゲートで実行可能なアルゴリズムとして提案されたのが、変分量子アルゴリズムです。本研究ではサポートベクターマシーンを変分量子アルゴリズムで解く方法を提案しました[Scientific Reports 12, 6758 (2022)]。