江澤雅彦 (Motohiko Ezawa)              所属: (東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻)
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研究概要  1.トポロジカル原子層物質:2.バレートロニクス: 3.ディラック電子系: 4.スカーミオン: 5.高次トポロジカル絶縁体: 7.新規量子ビット提案:
研 究 概 要

(IV) 磁性体中のトポロジカル構造

強磁性体中には非自明なトポロジーを持つ構造が存在します。特に二次元ではポントリャーギン指数が整数になるスカーミオン(skyrmion)や半奇整数になるメロン(meron)が存在します。

★ 磁壁とスカーミオンの可逆な変換 ★

磁性体の分野では磁壁に関して膨大な研究の蓄積があります。一方で、近年はスカーミオンが着目を集めています。これはトポロジカル指数であるPontryagin数が非ゼロの状態です。磁壁とスカーミオンはPontryagin数の違うため、トポロジカルに違う状態です。しかし、太さの違うナノワイヤを接合し、スピン分極流で押し出す事で、両者を可逆に変換できる事を示しました。磁壁の物理とスカーミオンの物理をつなぐ研究成果です。これはYan Zhou氏との共同研究です。[Nature Communications 5, 4652 (2014)]

★ スカーミオニウムとスカーミオン化学 ★

レーザー照射でスカーミオンを生成出来る事を実験的に示しました。またスカーミオンの複合体であるスカーミオニウムも生成出来る事を示し、スカーミオンの複合構造を一般的に扱うスカーミオン化学という分野を提案しました。実験家M. Finazzi, M. Savoini, A. R. Khorsand, A. Tsukamoto, A. Itoh, L. Duo, A. Kirilyuk, Th. Rasingの各氏との共同研究です。私は理論解析全般を担当しました。この論文はPhysics SynopsisとNature MaterialsとNature Nanotechnologyで紹介されました。[PRL110, 177205 (2013)]

★ カイラル強磁性体中のスカーミオンとメロン ★

MnSiやFeCoSi等の空間反転対称性のない磁性体中にはDzyaloshinskii-Moriya相互作用が存在します。磁場をかけないときの基底状態はヘリックス磁性状態です。磁場をかけていくとスカーミオン結晶ができることが最近の実験で示されました。この系を理論的に解析し、メロン相、スカーミオン・ガス相、スカーミオン結晶相がある ことを示しました。 [PRB83,100408(R)(2011)]

★ 強磁性体中の巨大スカーミオン ★

私は二次元強磁性体中で磁気双極子相互作用と外部磁場によって安定化される巨大スカーミオンについて研究しました。外部磁場の関数としてエネルギーと半径を解析的に導出しました。臨界磁場を超えると突然半径がゼロになることを示 しました。 [PRL105,197202(2010)]

★ スカーミオン・バーストと量子ウォーク ★

上記の研究の続きとして、磁気双極子相互作用で安定化されるスカーミオンに臨界磁場以上の磁場をかけた後のダイナミクスを量子ウォークを用いて解析しました。 [PLA375, 3610(2011)]