「粗い」測定で反応する食材について

東京オリンピック2020で、韓国の選手団が選手村で日本国産の食材のスクリーニングをしている、という話題がありました。映像を見る限りでは使用機材は空間線量計(ECOTEST社製terra-p)のようです。日本国内の一般的なスーパーに並ぶ流通食品で空間線量計が有意に反応することはまずあり得ない事実に加えて、ながらく福島県とその周辺県の食材の禁輸措置をとっていることからも、食材の測定法を知らない、ということはないと判断できます。

*モノや状況にもよりますが、放射性セシウムの場合でこの機種の場合、食材直上で基準の数十倍(数千 Bq/kg)が含まれていれば、いくらか反応するかな、といった具合です。


引用: 韓国“放射能フリー弁当”五輪選手団に提供

それでは、日本国内で(流通しているかどうかは別として)この程度の「粗い」測定で機器が反応するような食材がないのか、といえばそれもまた違います。数は限られますが、キノコ類や淡水魚類ではそんなケースも時折見受けられます。

例えば下記の動画は事故から10年が経った今年、2021年7月採取のヤマメ、イワナをGM管に近づけた際の映像です。魚の採取地は福島県内の帰還困難区域内です。もちろん、こういった魚が流通することはないはずですが、まだ顕著な汚染があるところにはある、そして継続して監視していく必要がある、ということです。

ちなみに、このイワナ、改めてGe半導体検出器で測定したところ、筋肉部で約13,000 Bq/kgの放射性セシウムを検出しました。一般食品の基準値の130倍です。


関連したコラムで、改めて測定って大事よね、というお話も併せてどうぞ。

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