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第9回「機能性バイオ」ミニシンポ
藻類バイオとCO2削減のポストコロナとグローバル展開

初のオンライン開催となった今回のミニシンポには、これまでを大きく上回る214名が参加されました。

パリ協定を含め、国際政策の専門家であられる高村先生や日本のバイオ燃料戦略の方向性を担うNEDOの西田様、東大発の新旧バイオベンチャー、アルガルバイオ社様とユーグレナ社様などから、ポストコロナを見据えて最先端のトピックをお話いただきました。様々な立場から藻類バイオに関わる第一線の方々のご講演を通じて、より活発な産官学の連携が期待されます。

以下に、参加者から届いたご質問と講演者のご回答をいくつかご紹介いたします。

質問と回答

紫外線殺菌技術の世界的動向とグローバル展開
  小熊 久美子(東京大学・院工学系)

【質問】
旧来の薬剤消毒と比較して、UV-LED消毒のコストはどの程度割安なのでしょうか?

【回答】
コストを一概に定量的にお応えすることは難しく、例えば「コスト」の範囲をどこまで含めるか(たとえば設備建設費や維持管理費まで含めるか、何年スパンで考えるか、など)、また、浄水施設の規模(施設処理能力)によっても異なります。 ただし、一般論として、水銀紫外線ランプを光源とする「従来型UV消毒」を「塩素消毒」と比較すると、単位水量あたり同じ消毒効果を得るために求められるコストは、ほぼ同等、または、塩素のほうがやや安価となるケースが多いようです。 この一般論を踏まえれば、光源を水銀紫外線ランプからUV-LEDに差し替えてコスト計算をすると、「塩素消毒」のほうが「UV-LEDによる消毒」よりも圧倒的に安価と推察されます(現時点では、UV-LEDは水銀ランプより出力が弱くかつ高額です)。 水の消毒に用いる最も汎用的な薬剤は塩素(次亜塩素酸ナトリウム)です。次亜塩素酸ナトリウムは工業的に大量生産可能で、きわめて安価な薬剤です。世界中で広く使われています。 そのような事実を踏まえても、UV-LEDを消毒に用いる“動機付け”は、コストではないと考えます。塩素では不活化しにくい塩素耐性微生物(クリプトスポリジウム等)の感染リスクを低減するため、山間地などで塩素薬剤補充の住民負担を軽減するため、塩素臭を嫌う住民ニーズにこたえるため、水銀フリーを志向する社会要請に応えるため、など、コスト以外の視点からUV-LEDの価値を見出せる場や用途に、実装が進むのではないかと期待しています。

微細藻類ユーグレナの活用によるSDGs達成の可能性
  鈴木 健吾(㈱ユーグレナ)

【質問】
大量培養に取り組む際、栄養源(培養液)調達に困ることはありますか? 特にカスケード的利用で燃料以外の付加価値なものに応用する場合、口にするようなものでも対応できるのでしょうか。基本的には肥料や飼料向けなのでしょうか?

【回答】
培養液については肥料などで販売されているもので対応できますが、その低コスト化を目指すのに生活排水や産業排水などをベースにしたものを活用することを検討しています。
生活排水などを活用して作ったものについては、クオリティー的には問題ないものができますが、消費者心理的に口にもっていくことに抵抗があったりする可能性もあるので、まず肥料や飼料などに展開させていただいています。

【質問】
ユーグレナは他の藻類と違って細胞壁がないそうですが、大量生産にあたり水圧や攪拌等の物理的な影響はないのでしょうか?広大な土地での培養なら水圧もそこまでかからないということなのでしょうか?

【回答】
クロレラ等の形状のものに比較するとシェアストレスは受けやすい生き物ではありますが、通常の藻類を培養するレースウェイ型のパドルやエアレーション程度では特に生育の阻害を受けるようなことはありませんでした。

2020年9月3日(木)

 開催概要とプログラム

開催概要

第9回ミニシンポ ポスターPDF

日時:2020年9月3日(木)14:00~ 18:00
配信:東京大学・柏の葉キャンパス駅前サテライト ・多目的ホールからオンライン配信します。
   (申込フォームによる事前登録制)
参加費:無料
主催:JST/OPERA機能性バイオ共創コンソーシアム
協力:東京大学 大学院新領域創成科学研究科

※ポスター画像からPDFをダウンロードできます。

プログラム

【はじめに】(14:00~14:15)
  ご挨拶 [7.5min]
    大崎 博之(東京大学・院新領域・研究科長)
  低CO2と低環境負荷を実現する微細藻バイオリファイナリーの創出にむけて [7.5min]
    三谷 啓志(東京大学・院新領域・研究統括)

【招待講演】
・Part 1(14:15~15:10)
  微細藻類を活用したゼロエミッションへのベンチャーの挑戦  [25min]
    竹下 毅(㈱アルガルバイオ)
  パリ協定後の世界ー脱炭素化に向かう社会とビジネス  [30min]
    高村 ゆかり(東京大学・未来ビジョン研究センター)

・ショートブレイク [5min]

・Part 2(15:15~16:40) 
  微細藻類油からの燃料製造  [25min]
    嶋田 五百里(信州大学・学術研究院・繊維学系)
  15N共鳴核反応による変異導入と藻類による消化液処理の可能性について [30min]
    鈴木 石根(筑波大学・院生命環境科学)
  紫外線殺菌技術の世界的動向とグローバル展開 [30min]
    小熊 久美子(東京大学・院工学系)

・コーヒーブレイク [10min]

【特別講演】(16:50~17:50) 
  次世代バイオ燃料研究開発の今後の方向性  [30min]
    西田 啓之(NEDO・技術戦略研究センター)
  微細藻類ユーグレナの活用によるSDGs達成の可能性  [30min]
    鈴木 健吾(㈱ユーグレナ)

【おわりに】(17:50~18:00)  
  ポストコロナへ:JST・OPERAへの新規参加に期待  [10min]
    河野 重行(東京大学・FC推進機構・機能性バイオ協議会)

<連絡先>
 東京大学・新領域・JST/OPERA機能性バイオ共創コンソ推進室
  細川 聡子<satoko_hosokawa@edu.k.u-tokyo.ac.jp>
  平野 滝子<takiko_hirano@edu.k.u-tokyo.ac.jp>
  狼 美保子<mihoko_ookami@edu.k.u-tokyo.ac.jp>

<協力>
 東京大学・産学協創推進本部・産学協創研究推進部
  山川 司<yamakawa.tsukasa@mail.u-tokyo.ac.jp>