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物性セミナー/2021-11

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2021-11-26

2021年 冬学期 第4回 物性セミナー

講師 阿久津 典子 氏(大阪電気通信大学工学部)

題目 多様な表面荒さとファセット化したマクロステップ

日時 2021年 11月 26日(金) 午後4時50分

場所 Zoom によるオンライン開催

・物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。

・登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。

アブストラクト

Siは半導体デバイスとしてよく使われてきたが、SDG'sの要請からより低い消費電力で動作する半導体を使った装置開発が急務である。GaNやSiCなどが未来の半導体として期待されているが、安価で質の高い結晶を作ることがなかなかできないでいる。その原因の一つがファセット化したマクロステップの形成である。そのためファセット化したマクロステップの理論研究を行ってきた。

 一方、最近の表面観察技術の発展により、表面現象が大変複雑であることがわかってきている。いろいろな効果を取り入れた理論研究の方向も有ると思うが、講演者はむしろ引き算の発想で、限られた効果のみを取り入れた格子模型を用いて表面現象、特に微斜面の荒さ、形 [1-3]、そのダイナミクス [4-6]について従来の数式による理論研究に加えて計算機実験(インシリコ材料研究)という観点からも調べている。

 本セミナーでは、まず長さスケールに依存し様々な「表面荒さ」が存在すること、Berezinskii-Kosterlitz-Thouless (BKT)ラフな微斜面とKardar-Parisi-Zhang (KPZ)ラフ [7] な微斜面間のクロスオーバー現象 [8] について解説する。さらに我々が密度行列繰り込み群計算により発見した異常性を持つ異方的表面自由エネルギーと結晶の形、微斜面のファセット化マクロステップ形成、ファセット化ラフ面について解説する。

[1] Akutsu, N.; Yamamoto, T. Rough-Smooth Transition of Step and Surface. Handbook of Crystal Growth; Nishinaga, T., Ed.; Elsevier: London, UK, 2015; Volume I, p. 265.

[2] Akutsu, Y.; Akutsu, N.; Yamamoto, T., Phys. Rev. Lett. (1988), 61, 424--427.

[3] Akutsu, N., J. Phys. Condens. Matter, (2011), 23, 485004.

[4] Akutsu, N., Phys. Rev. Mater., (2018), 2, 023603.

[5] Akutsu, N., Cryst. Growth Des., (2019), 9, 2970--2978.

[6] Akutsu, N., Sci. Rep., (2021), 11, 3711.

[7] Barabasi, A.L.; Stanley, H.E. Fractal Concepts in Surface Growth; Cambridge University Press: Cambridge, UK, 1995.

[8] Akutsu, N., Sci. Rep., (2020), 10, 13057.

宣伝用ビラ

KMB20211126.pdf(32)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2021-11-19

2021年 冬学期 第3回 物性セミナー

講師 青木 大 氏(東北大学金属材料研究所)

題目 新奇スピン三重項超伝導体UTe2の多重超伝導と磁場誘起現象

日時 20121年 11月 19日(金) 午後4時50分

場所 場所 Zoom によるオンライン開催

・物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。

・登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。

アブストラクト

UTe2は2018年末に初めて超伝導が報告された重い電子系常磁性体である。当初は強磁性超伝導体URhGe, UCoGeとの類似性が指摘され、強磁性臨界点近傍にある物質と考えられていたが、それほど単純ではないということもわかってきた。しかし強磁性超伝導体に見られるように、スピン三重項超伝導が実現しており極めて磁場に対して強い超伝導であるという点で類似性がある。超伝導転移温度は1.6Kであるが、磁化困難軸方向の直方晶b軸方向に磁場を加えると、磁場再突入型超伝導相図を示しながら35Tまで超伝導が生き残る。また、圧力を加えると超伝導転移温度が分裂し多重超伝導相図を示す。圧力下で磁場を加えると多重超伝導を反映した特異なHc2相図を示す。超伝導が抑制される臨界圧力以上では反強磁性秩序が現れる。臨界圧直上で磁場を加えると、ゼロ磁場では常伝導であるが10T以上のスピン分局した高磁場で磁場誘起超伝導を示す。このように、UTe2は、磁場、磁場方向、圧力、温度をチューニングすることで多彩な現象を引き出すことができる。スピン三重項超伝導ということでトポロジカル超伝導という視点からも注目を集めている。講演ではこれらの概要を示しながらUTe2の物理の魅力を伝えたい。

宣伝用ビラ

KMB20211119.pdf(35)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2021-11-5

2021年 冬学期 第2回 物性セミナー

講師 山口 義幸 氏(京大 情報)

題目 Vlasov系における分岐の標準形

日時 2021年 11月 5日(金) 午後4時50分

場所 Zoom によるオンライン開催

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アブストラクト

長距離相互作用する大自由度ハミルトン系のダイナミクスはVlasov方程式と呼ばれる1体分布関数方程式で記述することができる。Vlasov方程式における分岐点とはリファレンスとした分布関数族の安定性が変化する点と捉えることができる。一般にVlasov系では初期状態は熱平衡状態に緩和しないため、分岐点まわりでの臨界指数が統計力学で得られる値と異なる等、興味深い現象が多数観測される[1-3]。本発表では分岐点まわりにおけるダイナミクスの本質をなるべく簡単に表す標準形について議論を行う。考えているリファレンスが空間変数に依存するかしないかによって結果が異なるが、依存する場合は無限次元のVlasov系が3次元の標準形に縮約できることを紹介する[4]。この標準形はCasimirと呼ばれる無限個ある保存量の一つを取り込み、摂動によるCasimir保存量の値の変化によって質的に異なる分岐が得られる。得られた標準形による時間発展を、Vlasov方程式の数値シミュレーションと比較し、縮約の正当性を示す。

[1] J. D. Crawford, Phys. Rev. Lett. 73, 656 (1994).

[2] S. Ogawa, A. Patelli, and Y. Y. Yamaguchi, Phys. Rev. E 89, 032131(2014).

[3] Y. Y. Yamaguchi, D. Das, and S. Gupta, Phys. Rev. E 100, 032131 (2019).

[4] J. Barré, D. Métivier, and Y. Y. Yamaguchi, Phys. Rev. E 102, 052208(2020).

宣伝用ビラ

KMB20211105.pdf(72)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar