研究内容の紹介



専門分野:スポーツ科学(運動生理学&バイオメカニクス)

主な研究テーマ:
スポーツ科学および健康科学分野において、研究対象としてあまり注目されてこなかった「腱」の機能的役割や可塑性を通じて、新たな視点からスポーツパフォーマンス向上や健康増進を図ることを目指しています。
現在すすめている研究テーマは、以下のとおりです。
(現在は下記テーマをすすめておりますが、少しずつ守備範囲を広げていきたいと思っています

1)筋および腱の力学的特性(いわゆるバネ)の機能的役割
 これまでは「腱」のみを研究対象としてきましたが、最近では「収縮条件下での筋の力学的特性」(e.g., Kubo 2014 J Appl Physiol)も含めて、いわゆる
『バネ』について多角的に検証を重ねています。跳躍、スプリント、長距離走などの伸張ー短縮サイクル(Stretch-Shortening Cycle: SSC)運動における「筋および腱の力学的特性」の影響を検証し、いわゆる『バネ』の機能的役割を明らかにすることを目指しています。

2)筋および腱の力学的特性(いわゆるバネ)の可塑性
・成長および加齢に伴う「筋および腱の力学的特性」の横断的および縦断的変化
  身体各組織は一様に成長・加齢変化するわけではないため、この研究で得ら
  れる知見は各年代層における安全なトレーニング法の開発に寄与すると考え
  ています。
・さまざまなトレーニングに伴う「筋および腱の力学的特性」の変化
                        
とパフォーマンスへの影響
  これまでさまざまなトレーニング法が考案されてきましたが、その大部分は
  筋、骨、呼吸循環系などを対象としたものでした。この研究で得られる知見
  は、これまでに無かった新たな視点からのパフォーマンス向上に貢献できる
  可能性を秘めています。
・「筋および腱の力学的特性」に及ぼす先天的要因(遺伝子多型)の影響
  これまでの研究では後天的要因を対象としてきましたが、筋および腱の
  力学的特性の可塑性の機序解明のために先天的要因(主にコラーゲンの
  遺伝子多型)も考慮する必要があります。このテーマの第1弾的研究と
  して、5型コラーゲンの遺伝子多型が膝伸筋群の腱組織の伸展性と関連
  があることを明らかにしました(Kubo et al. 2013 SpringerPlus)。

3)腱の障害予防
 スポーツ人口の増加に伴い、使いすぎによるスポーツ障害が増加しつつあります。特に、アキレス腱炎や膝蓋腱炎などの腱障害はトレーニング継続を妨げる最大の要因であり、競技選手のパフォーマンス向上や一般の方々が安全に健康増進を図る上で解決すべき課題であると言えます。スポーツ現場や医療現場ではさまざまな対処法(温熱療法、鍼治療、高気圧酸素療法、ストレッチング、など)が導入されていますが、それらの大部分は経験に基づいた処方に留まっています。腱の血液循環やその他さまざまな因子への影響を考慮に入れた最適な
腱のメンテナンス法の確立を目指しています。

4)ヒト生体の筋および腱に関する新たな測定法の開発
 ヒト生体を対象にした非侵襲的な測定法は、スポーツ科学および健康科学分野において新たな知見を創出するために必須なものと言えます。これまでに以下に挙げる幾つかの測定法を開発してきましたが、今後も新たな研究が展開できるような測定法の開発を目指しています。
私自身は、この「測定法の開発」が最も重要な研究テーマであると認識し、常に意識しながら日々の研究をすすめています。
・ヒト腱のステイッフネスおよびヤング率(Kubo et al. 1999 J Appl Physiol)
・ヒト腱のヒステリシス(Kubo et al. 2001 J Appl Physiol)
・ヒト腱の血液量および酸素飽和度(Kubo et al. 2008 Acta Physiol)
・血中マーカからのヒト腱コラーゲン代謝の推定(Kubo et al. 2012 Res Quart)
・収縮条件下での筋ステイッフネス(Kubo 2014 J Appl Physiol)
・ヒト腱のコラーゲン線維配列(Ishigaki et al. 2016 J Biomech)
・ヒト腱の血流量(Kubo et al. 2017 J Phys Fitness Sports Med)


参考:
・上記研究テーマの中で、2015年頃までに発表した「腱に関する研究」については、月刊誌「体育の科学」(杏林書院)の2015年12月号から2016年5月号まで6回にわたって連載記事で紹介しております。

・東京大学スポーツ先端科学研究拠点HP掲載の研究紹介
                (
久保研究紹介

・東京大学産学連携プロポーザルへの掲載記事(1)
  ー腱を考慮に入れた新たなトレーニング法の開発ー
  http://proposal.ducr.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/ccr_usr/detail.cgi?num=6278

・東京大学産学連携プロポーザルへの掲載記事(2)
  ーヒト腱の代謝的因子の変化に基づいた腱障害に対する治療法の確立ー 
  http://proposal.ducr.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/ccr_usr/detail.cgi?num=6303