ゼニゴケは苔(タイ)類に属す陸上植物の一種です。私たちのよく知っている被子植物と同じく陸上植物に分類され、陸上植物の進化上の基部に位置すると言われています。その形態が興味深いなどの理由から古典的な植物学において多く用いられてきたゼニゴケですが、近年京都大学大学院生命科学研究科の河内孝之教授を中心としてゲノム解読が進められ、ゲノム時代の分子遺伝学的なモデル生物として再び注目されています。
mRNAは細胞内で単独でいるわけではなく、RNA結合タンパク質と共にRNA顆粒という凝集構造で存在することが知られています。RNA顆粒は細胞小器官と同様にほとんどの生物が持っているにも関わらず、それぞれの詳細な機能は未だ謎に包まれています。我々が注目しているのはProcessing body (P-body)とStress granules という2種類の細胞質顆粒です。
種子植物の大半は大地に根を張り、体の固定や土壌から水や無機塩類をより多く取り込むために根系を広げていきます。この根の広がりを担うのが根の先端部にある分裂領域(根端分裂領域)であり、根端での細胞分裂と細胞伸長が根が土壌中を伸びていく原動力になります。この根端分裂領域の維持・制御には非常に多くの遺伝子発現制御が関わることが知られ、その制御には植物ホルモンがシグナル因子として寄与することがよく知られています。私たちは植物ホルモンの中でもステロイド骨格を持つブラシノステロイド(以下BR)に着目し、周辺環境が根端でのBR生産制御にどのように影響を与えるのかについて取り組んでいます。
