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物性セミナー/2020-1

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2020-1-30

2019年 冬学期 第6回 物性セミナー

講師 中尾裕也氏(東京工業大学工学院)

題目 時空間パターンダイナミクスのKoopman固有汎関数を用いた縮約解析

日時 2020年 1月 30日(木) 午後4時50分 【いつもと曜日が異なります.】

場所 16号館 119 【いつもと場所が異なります.】

アブストラクト

近年、非線形な力学系について、状態変数そのものではなく、その観測量の時間発展に着目するKoopman作用素論に基づく解析手法に興味が持たれている。特に、固定点や周期軌道に漸近する解を持つ非線形力学系をKoopman作用素の固有関数を用いた座標変換によって線形化することができ、制御理論などへの応用が進んでいる。実は、古くから非線形振動子の同期現象の解析に用いられてきた位相縮約法における漸近位相は、振動数に対応する固有値を持つKoopman固有関数と等価であり、位相縮約法をKoopman固有関数を用いた力学系の線形化・次元削減手法の一種と捉えることができる。この考えに基づいて、非線形振動子の位相振幅縮約法も定式化されている。さて、多くの物理現象の時空間ダイナミクスは偏微分方程式で記述されるため、そのような場合にもKoopman作用素に基づく解析手法を拡張できると便利である。これについて、定常パターンに漸近する解を持つ偏微分方程式に対しても、形式的にはKoopman作用素の固有汎関数を導入することによって線形化・次元削減できることを述べ、Koopman固有汎関数を解析的に求められる場合としてBurgers方程式などの例を示す。さらに、時間周期的な解を持つ偏微分方程式についても、形式的には同様にKoopman固有汎関数を考えることができる。これを用いて、時間周期的なパターンダイナミクスを示す反応拡散系を位相振幅縮約して、その同期現象の解析に応用する。

このセミナーは中尾先生の集中講義の一貫として行います.集中講義に出席されていない方でも自由にご参加ください.

宣伝用ビラ

KMB20200130.pdf(296)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2020-1-17

2019年 冬学期 第5回 物性セミナー

講師 北村 未歩 氏(KEK 物質構造科学)

題目 放射光分光によるペロブスカイト型遷移金属酸化物界面に発現する特異な強磁性の起源解明

日時 2020年 1月 17日(金) 午後4時50分

場所 16号館 827

アブストラクト

ペロブスカイト型酸化物は、構成する陽イオンの種類やその組成を変化させることで、金属−絶縁体転移や高温超伝導、巨大磁気抵抗効果、マルチフェロイクスなどの多彩な物性を示す。さらに近年、薄膜作製技術の進歩により、異なるペロブスカイト型酸化物薄膜を分子層レベルで制御しながら積み重ねる、超高品質ヘテロ構造の作製が可能となってきた。これにより、ペロブスカイト型酸化物の多彩な機能を集積化できるだけではく、その界面において構成材料単体では発現し得ないような特異な物性が発現するという報告が次々になされてきた[1]。例えば、絶縁体酸化物同士の界面における2次元金属状態や超伝導特性、あるいは非磁性酸化物同士の界面における強磁性の発現などがその例として挙げられる。

 我々は、そのような酸化物ヘテロ界面に発現する特異物性に着目し、酸化物分子線エピタキシーというヘテロ界面を「つくる」技術と高輝度放射光による界面の電子状態・スピン状態を「みる」技術とを高いレベルで融合することで、酸化物ヘテロ構造に発現する特異物性の起源解明とその設計・制御を推進している。本講義では、これまでの酸化物ヘテロ界面の研究を俯瞰的に紹介するとともに、私が携わった放射光分光を用いた酸化物ヘテロ界面の研究について紹介する。具体的には、界面において特異な磁気特性が発現しているLaNiO3/LaMnO3ヘテロ構造において、様々な放射光分光手法を駆使してその起源を明らかにした結果を紹介したい [2,3]。

[1] H. Y. Hwang, et al., Nat. Mater. 11, 103 (2012).

[2] M. Kitamura, et al., Appl. Phys. Lett. 108, 111603 (2016).

[3] M. Kitamura et al., Phys. Rev. B in press.

宣伝用ビラ

KMB20200117.pdf(143)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar