本研究室では、溶液や界面のように分子が(あまり)規則性なく“ごちゃごちゃ”と存在している系に対して、先端的な分子分光法を適応することで、得られたスペクトルからその“ごちゃごちゃ”を解き明かすことを目標としています。たとえば、水について、分子レベルではその構造は非常によくわかっているといえますが、アボガドロ数分子が集合した液体や界面となると、現在ほとんどわかっていません。また、対掌性、すなわちキラリティーは化学において非常に重要な概念ですが、その高感度検出やダイナミクスの研究はまだまだ未開拓です。そのような未だ謎に包まれている凝縮相(液体や界面)における分子の構造・ダイナミクスを明らかにしたいと考えています。 本研究室では、分光手法の開発を独自に行うことで、いままで得られなかった分子構造情報を得ることを目指しています。これまで存在していた分光法も、少しの工夫を加えることで、新たな分子科学的知見を得ることができます。本研究室で用いている手法(の一部と実験装置)を以下に紹介します。
ハイパーラマン分光法
ハイパーラマン分光法は、赤外分光法・ラマン分光法では得られない分子構造に関する情報を得られるユニークな分光法です。ラマン分光法が入射した一光子が、分子振動のエネルギー分だけずれたエネルギーを持つ一光子となって散乱されるのに対して、ハイパーラマン散乱では、入射した二光子に対して、一光子が散乱されます。
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ラマン分光
ラマン分光法で得られるラマンスペクトルは、「分子の指紋(Molecular Fingreprint)」と呼ばれるように、分子構造を鋭敏に反映します。1928年にChandrasekhara Venkata Ramanにより発見された非弾性散乱です(Ramanはその2年後直ちにノーベル賞を受賞)。
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