手記
東原和成 ┃ European Chemoreception Research Organisation ┃ 2009年9月23-26日
はじめてのECRO、はじめてのイタリア
初めてのイタリア。パスタの原料になるデュラルム粉の粉っぽい香り、ピザの生地のような匂い。イタリアの香りである。アリタリア航空を使ったが、イタリア人がほとんどで、機内のいたるところで立ち飲みバー(バカリ)のようになっている。パスポートは見せずに入国する。とにかく、陽気で人生を楽しんでいる国である。
はじめてのECROである。親しくしているHeinz Breerがpresidentであることもあり、プログラム委員を引き受けた。ECROはいままで隔年であったが、今年から毎年になって若干人数が少なくなったようだ。AChemSほど活気はないし、サイエンティフィックな意味では高いものは期待できないが、こじんまりとしていて雰囲気がいい。場所がいつも魅力的で、今年はイタリアのサルディニア島である。
発表は、特任助教の佐藤君がBill Hanssonと並んで昆虫の嗅覚トランスダクションの話を披露。午前中で、時差もなかったせいか立派に発表(追記:最近、John Carlsonのグループが見事なconditional knock-out実験でGタンパク質が関わっていないという我々の主張を支持する論文を発表してほぼ決着、2010年)。先立って昆虫の嗅覚味覚研究にフォーカスを絞ったESITOが開催されたが(日本で言うと鋤鼻研のようなもの)、博士2年の中川龍郎君が立派にオーラル発表をこなす。私はESP1の最新情報を披露。
そして、楽しみにしていたイタリア料理。若干塩っ辛いが、ハム+チーズがやけに美味しい。前菜がおおくて食べきれない。でも学会の終わりのころには胃袋もおおきくなってどんどん入る。しかも、Umami Tasteがしっかり入っているせいか、日本食が全然恋しくならない。とにかく、ワインと料理を満喫した。食べ物の素材の香りがうまくいかされており、香りの相性もよく、ワインがくいくいすすむ。サルディニア島のカンノナウという葡萄の品種のワインが最高である。バッグの中には、手で持って帰れる三本すべてカンノナウ。
そして、伝統の継承。トランジットで寄ったローマは遺跡が豊富な文化都市である。石の街。日本で対抗できるのは五重塔くらいか。また、ベネチアは、路地裏が面白い。東京でいうと、谷根千か。でも、スケールが違いすぎる。文化遺産に対する真摯な考え方は我々も見習いたいものである。
次回のISOTはBill Hanssonが会頭をやるそうで、組織委員をひきうけた。 ECROは、サイエンティフィックには微妙であったが、良き友人たちとの交流と、素晴らしい文化にふれることができたのは実りである。
追記:今回の手記はかなりの時間がたってしまったため、メモ程度になってしまった。