研究の背景・目的
地球規模での環境変動が進み、異常気象や気象災害のニュースを頻繁に聞くようになってきました。干ばつ、熱波などの気象災害は、農業にも大きな被害を及ぼし、食料の供給や価格にも影響が出ています。
一方で、植物は根を下ろした場所や年による環境の違い、そして日々の環境変化にしなやかに対応し、耐える能力を進化させてきました。この能力を明らかにし、生かすことで、食料供給や農業の持続性に貢献できると考えています。
研究材料として、モデル植物のシロイヌナズナ、そして作物のイネやトマトを使っています。植物が環境ストレス下で生き抜くための遺伝子の働きを明らかにする基礎研究を行う一方、明らかにした遺伝子機能を利用して耐性を向上させる方法の開発や、各作物が持つ独自の環境ストレス耐性機構についての研究も行っています。最近は特に高温ストレスへの応答の仕組みを中心に研究を進めています。
環境ストレス応答の仕組みの理解は、環境ストレス耐性品種の作出や環境変化に対応した農業技術の開発につながるだけでなく、環境応答を利用した作物の形質制御など、栽培技術の開発にも応用できます。
“地球沸騰化”の時代に学術の立場から貢献することを使命と考え、教育・研究を行っています。