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物性セミナー/2019-7-24

2019年 夏学期 第9回 物性セミナー

 講師 小林 徹也 氏 (東大生産研)

 題目 細胞系譜を読み解くための数理と統計

 日時 2019年 7月24日(水) 午後4時50分

 場所 16号館 827

アブストラクト

生命の進化は共通祖先から現存生物につながる不断の進化系譜によって特徴づけられる。しかし進化の系譜は現在の情報から予測・推定するもので、直接計測することはできない。しかし近年、単細胞生物などであれば微細流路などの技術を活用して、細胞の増殖競合を数百世代にまで計測することが可能になってきた。またDNAバーコードなどを用いて、単一の受精卵から多細胞体が形成される課程を、発生系譜としてとらえる試みも進んできている。このような技術的進展を背景に、実験計測された細胞の系譜をどのように解析するべきなのか?、またどんな情報が抽出できるのか?などの問題を解決する必要が出てきている。本発表では、細胞系譜を表す分岐課過程基づく理論をまず紹介する。分岐課程はセミマルコフ過程の拡張としてみなすことができ、その経路積分表現を導入することで高い一般性を持って現象をとらえることができる。この理論をベースに、増殖率の応答関係などの結果を導く。また合わせて、細胞系譜のデータから各細胞を特徴づける潜在状態を推定する統計解析手法についても紹介する。細胞系譜は分裂が早い細胞がデータ内にoverrepresentされるという性質を持ち、これが統計的な増殖バイアスとなる。増殖バイアスを理論的にとらえることは、細胞の生存競争による選択で歪んだデータを修正するだけでなく、選択の強さを定量することにもつながる。

宣伝用ビラ

KMB20190702.pdf(196)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

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最終更新時間:2019年07月02日 20時34分21秒