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物性セミナー/2024-4

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2024-4-26

2024年 夏学期 第2回 物性セミナー

講師 前垣内 舜 氏(日立ハイテク)

題目 超伝導渦糸系で探る多粒子系の非平衡相転移

日時 2024年 4月 26日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 16号館 827 およびオンライン

オンラインで参加される方へ:

物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)

登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

ランダム(または規則的)な基板上を駆動された多粒子系は、基板-粒子間及び粒子-粒子間の相互作用と駆動力の競合により、多彩な秩序構造をもった運動状態や非平衡相転移を示すことが知られている[1,2]。ここでの多粒子系には、高分子微粒子からスキルミオンのような磁気構造や生物の群れまで含まれ、また基板の種類も試料に固有の乱れから光ピンセットのような人工的なものまで多岐にわたる。しかし、コロイド粒子系などの多粒子系では、個々の粒子に制御された駆動力を印加するのは容易ではない。これに対して我々は、電流による駆動力の直接印加・制御が容易であり、2次元多粒子系とみなせる超伝導渦糸系を用いた非平衡相転移の研究を展開している。本セミナーでは、最初に基本的な非平衡相転移である吸収状態転移[3]について概観する。その後、我々の研究成果のうち、交流駆動による可逆不可逆転移[4]、直流駆動によるディピニング転移[5]、動的秩序化転移[6]などを紹介し、それらの共通点や包括的な理解について議論する。また、非平衡相転移においてKibble-Zurek機構を実証した実験[7]についても紹介する。本セミナーで紹介する結果は、渦糸系に限らず種々の多粒子系に適用できるものである。

参考文献:

[1] C. Reichhardt and C. J. O. Reichhardt, Rep. Prog. Phys. 80, 026501 (2017).

[2] C. Reichhardt, I. Regev, K. Dahmen, S. Okuma, and C. J. O. Reichhardt, Phys. Rev. Research 5, 021001 (2023).

[3] H. Hinrichsen, Adv. Phys. 49, 815 (2000).

[4] S. Maegochi, K. Ienaga, S. Kaneko, and S. Okuma, Sci. Rep. 9, 16447 (2019), S. Maegochi, K. Ienaga, and S. Okuma, Sci. Rep. 11, 19280 (2021).

[5] T. Kaji, S. Maegochi, K. Ienaga, S. Kaneko, and S. Okuma, Sci. Rep. 12, 1542 (2022).

[6] S. Maegochi, K. Ienaga, and S. Okuma, Phys. Rev. Research 4, 033085 (2022), S. Maegochi, K. Ienaga, and S. Okuma, Sci. Rep. 14, 1232 (2024).

[7] S. Maegochi, K. Ienaga, and S. Okuma, Phys. Rev. Lett. 129, 227001 (2022).

宣伝用ビラ

KMB20240426.pdf(23)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2024-4-19

2024年 夏学期 第1回 物性セミナー

講師 松永 隆佑 氏 (東大物性研)

題目 テラヘルツ分光で調べる光誘起異常Hall効果とスピンHall効果の微視的メカニズム

日時 2024年 4月 19日(金) 午後4時50分-6時15分前後

場所 オンライン

物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)

登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

磁性体のように物質自身が時間反転対称性を破った系では、外部磁場をかけなくてもバイアス電場とは横方向に電流が生じる。これは異常Hall効果と呼ばれ、その微視的メカニズムは電子のバンドのトポロジーと深く結びついているため盛んに研究が行われてきた。最近では円偏光を照射して時間反転対称性を破ることで生じる光誘起異常Hall効果も注目を集めている。これは磁性体に限らず極めて普遍的に生じうる現象であり、スピントロニクスやバレートロニクス、Floquetエンジニアリングといったキーワードとも深く関わっている。しかしメカニズムは非常に複雑で、包括的に理解するための研究はこれまで行われていなかった。本セミナーでは、テラヘルツ分光を使って異常Hall効果を調べてきた我々の研究成果を紹介する。試料を透過したテラヘルツパルスの偏光回転を精密に計測することで、異常Hall伝導度をテラヘルツ帯のスペクトルとして計測してその周波数依存性を調べることができる。さらに100フェムト秒以下の分解能で高速に計測できるため、非平衡下で異常Hall伝導度のダイナミクスを調べることが可能である。これらの特長を生かして、磁性体の異常Hall効果の超高速ダイナミクスを初めて調べた研究[1]、3次元Dirac半金属における光誘起異常Hall効果の機構を分類して起源を解明した研究[2]、そして半導体におけるスピンHall伝導度の周波数依存性を初めて計測して微視的機構に分解した研究[3]を紹介し、議論する。

[1] T. Matsuda, RM et al., Phys. Rev. Lett. 130, 126302 (2023).

[2] Y. Murotani, RM et al., Phys. Rev. Lett. 131, 096901 (2023).

[3] T. Fujimoto, RM et al., Phys. Rev. Lett. 132, 016301 (2024).

宣伝用ビラ

KMB20240419.pdf(26)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar