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2017-4-28
2017年 夏学期 第1回 物性セミナー
講師 多田靖啓氏(東京大学物性研究所)
題目 超伝導における永久電流とU(1)対称性
日時 2017年 4月28 日(金) 午後4時50分
場所 16号館 827
アブストラクト
よく知られているように、超伝導はゼロ電気抵抗とマイスナー効果によって特徴付けられる。ゼロ電気抵抗からは永久電流が期待されるが、通常は、Blochの定理によって永久電流は平衡状態では流れることはないとされている。そのため、実験的に観測されている永久電流は、準安定状態で流れていると考えられてきた。一方、電磁場の揺らぎを考慮した場合には、Elitzurの定理によってクーパー対振幅はゼロになりU(1)対称性の破れは起こらないことが知られている。これに対し、マイスナー効果は通常、BCS理論を基本にして超伝導体の外部電磁場への応答とマックスウェル方程式によって記述されてきた。
このような背景の下、我々は、電磁場と相互作用する引力ハバードモデルを例にとり、Blochの定理とElitzurの定理を精査した[1,2]。その結果、3次元的トロイダル形状の超伝導体では、表面を流れる永久電流の可能性はBlochの定理では排除できないことが結論される。また、Elitzurの定理を固定されたゲージ場に拡張することによって、ほとんど全てのゲージ場配位に対して、クーパー対振幅とそれに対応する長距離秩序はゼロになることが示される。さらに、しばしばゲージ理論で用いられる適当なゲージ固定条件の下では、クーパー対相関関数は長距離でゼロに減衰することも示すことができる。セミナーではこれらの結果を紹介するとともに、超伝導の基礎的理解について考えていきたい。
[1] Yasuhiro Tada and Tohru Koma, J. Stat. Phys. 165 (2016) 455.
[2] Yasuhiro Tada and Tohru Koma, arXiv:1612.00619.
宣伝用ビラ
KMB20170428.pdf(323)
物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar