Research

  • 有機化学研究室の歴史
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  • 天然物・有機化学の研究と社会の繋がり
  •  有機合成化学の本質は、有機分子の構造を意のままに操り新たな価値を創出することにある。当研究室は、有機合成化学の力を使って何をなすべきかを常に考えてきた。ある時は“超複雑”天然物の合成に挑み、また斬新かつ画期的な合成手法の開発に取り組んできた。有機合成の歴史に名を残す偉大な業績である世界初のジベレリン合成(森謙治名誉教授ら)やアザジラクチン合成(渡邉秀典名誉教授ら)はそれに該当する。ただし、我々はただ単に合成することを目指してきたわけではなく、合成した化合物が学問や産業に新展開をもたらすような研究を志向してきた。例えば、森名誉教授は、一連の昆虫フェロモン合成を通じて立体化学と生物活性の相関関係を詳細に議論し、生物における分子認識の理解に衝撃を与えた。また、フェロモンを用いた害虫防除研究の先導者でもあった。北原武名誉教授による一連のムギネ酸関連化合物の合成は、作物の生産性向上に大いなる可能性を示した。近年、滝川はアフリカ等で主要作物に甚大な被害を与えている根寄生雑草の防除研究に参画し、社会実装を期待される顕著な成果を挙げている。即ち、分子の構造を意のままに操る力を持つ者はその力を磨き続けるべきであり、また、その力を使って何をすべきかを常に考え、新たな価値を創出するための挑戦を続けていくべきであろう。
     前置きが長くなったが、当研究室では、世のため人のためになる可能性がある生物活性天然有機化合物の合成研究を行っており、究極の目標はそれらを通じて人類の福祉に貢献することである。主たる直接的課題は特定の分子を化学合成することであるが、その過程で新たな反応・方法論を見出すことや、先述の通り、合成された化合物に重要な意味が付随する研究の遂行が我々の目指すところである。研究対象となる生物活性物質は多岐にわたるが、有機合成化学的手法を駆使して合成した化合物による活性・機能の評価、構造活性相関の解明、天然物より優れた特性を持つ新規分子の創製など、志向する展開も多様である。なお、我々は基本的に“合成に特化”した研究を行うがゆえに、他分野の研究者との連携・共同研究も極めて重要である。その点において、お互いが相補的かつ相乗的な協力関係を構築することが肝要であり、実際、そのような研究協力関係の中から着々と成果が挙がっている。
     典型的な実験化学である有機合成では実験台に向かい手を動かすことが中心となるため、“腕” を磨くことが重要になる。そのためには、研究実験と誠実に向き合う姿勢が求められるが、考える習慣や“眼”を養うことも大切である。研究遂行に必要な論理的かつ客観的な“眼”だけでなく、美・真理・本質を見抜き、先を見通す“眼”が研究者としての飛躍に必要だからだ。これらは決して天賦の才ではなく、努力と経験によって磨かれるべきものである。また、日々の研究室生活から様々なこと吸収し、技術や頭脳だけでなく人間力も磨いて欲しいと思う。
     大学院生時代、恩師から「若者よ、良い仕事をしようよ! 滝川君、ところで良い仕事とは何だ?」と禅問答のような問いを受けた。正直、この問いに一義的な答えはないと思うが「自身がenjoyできること」が必要条件の一つであることに疑問の余地はないだろう。我々は皆さんと共に研究をenjoyすることを楽しみにしています。

  • 有機合成化学的視点からのストリゴラクトン研究
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  • 天然有機化合物の全合成研究
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  • 有機合成化学的手法を基盤とした有用生物活性天然物に関する研究:1
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  • 有機合成化学的手法を基盤とした有用生物活性天然物に関する研究:2
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  • 天然物合成を基盤とした生物有機化学研究
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