広帯域分光計測を基盤としたバイオ・熱エネルギー分野への貢献
"人と社会の暮らしを守る技術"
表面プラズモンや表面フォノンなどのは、回折限界を大きく超えた光学性能を発揮する。これらの局所的ナノ光技術を適用して、生体分子情報センシングや生体防御技術、更に熱エネルギー制御に向けた多角的な研究開発を行っています。例えば、ナノプラズモニックメタマテリアル(近接場効果)による生体分子反応や生体ガスの分光計測、応力機械的ひずみに伴う反射・発光現象を利用した応力光技術を用いた生体や構造物等の可視化・診断技術を目指しています。更に無機や生体オマテリアルの積極的な光学制御と熱や電磁波から生体防御、つまり、バイオから熱エネルギー技術まで幅広い応用をターゲットにしています。また、産総研や他大学、及び企業間の共同研究から事業開発を積極的に推進しています。狭い学問分野にとらわれず、ユニークな基礎科学のコンセプトにより明確な出口志向を持った研究を目指します。
ナノ光技術制御とバイオ・メディカルへの応用展開
・バイオプラズモニクスと表面センシングの先進的技術の開拓
・表面フォノン場の赤外制御と生体分子相互作用の検出
・自己分子標的マーカーによる生体(分子)情報の表面検出
・生体呼気ガスの高感度分光計測と検出技術の開発
可視から赤外帯域のナノ光技術を用いて、細胞や生体分子に由来する興味ある巨大分子的(マクロ)
性質を用い、生命機能に関する生体情報を検出(操作)します。フレキシブルな階層的なナノ構造制御
(0次元から3次元構造形成)は、微小な局所空間でアクティブな電磁場活性を与え、表面プラズモン場
や表面フォノン現象が発現し、近接場的な微小な光電場が生まれるナノプラットフォームとなります。 これ等の微小ナノプラットフォームの形成や3次元的な電子動力学的な計算も併用して、生体情報の高感 度な計測に向けた生体・無機界面(バイオインターフェイス)の制御から、生体分子機能の解明及び計 測手法の開発を目指します。特に赤外領域に着目して、分子振動や分子回転による生体情 報や生体呼 気ガス等に着目した分光検出を行う。赤外域は、豊富な分子指紋が存在し、機械学習によるパターン認 識や人工知能によるスペクトル学理解が期待されている。
Bio-signal Processing (2022). ACS Appl. Bio mater. 3, 6331 (2020)
Micromachine 11, 1062 (2020).
生体組織の振動分光イメージング「アップデート機器分析学」2020年
Sensor and Actuators B:Chemical, 239, 679 (2017).
Appl. Phys. Lett. 109, 191601 (2016). Appl. Phys. Lett. 106, 019905 (2015).
無機バイオマテリアルを基盤とした応力・歪みセンシング
"ナノメカニクスへの応用"
・構造物体診断技術とIoT応用
・生体内部の応力集中部位の計測とその可視化
・歯科技工への展開
近年、生体応力の印加や社会的インフラ当の持管理に向けて、目視できない疲労やき裂などの応力集 中の可視化やそのセンシング技術は重要な課題である。歪みゲージや圧電体は、電気的信号による応力 検出が可能であるが、センササイズや測定点に限界がある。一方、X線検知や光弾性(ホログラフィー) 法も、複雑な構造物体への適用や、リアルタイムな応力分布の可視化に向けた課題がある。故に、試料 内に発生する応力場を、高い空間的・時間的分解能を有し、広い計測視野を持つ応力センシング技術の 開拓が要求される。本課題では、無機バイオマテリアルや生体親和性の高い材料に着目し、生体内にお ける応力・摩擦集中を直接的に可視化できる手法を開拓します。特に、反射や蛍光などのナノ光技術を 基盤とします。
Appl. Mater. Inter. in-press (2023)
応力発光による構造体の新しい診断技術エヌ・ティ・エス(株)(2012)
Physical Review B69, 235169 (2004)Applied Physics Letters78, 1068 (2001)
酸化物半導体プラズモニックマテリアルと透明遮熱断熱への応用
"電磁波や熱からの生体防御からスマートウインドウの創成"
・酸化物プラズモニックマテリアルの研究開発
・サーマルマネージメントと透明遮熱・透明断熱制御"
省エネルギーの持続社会の実現に向けて、快適な都市空間や社会活動を支えるためにエネルギー技術
(ゼロエミッション社会)の構築が重要な課題となっています。ビルや住宅等から熱線を効率的に遮断
する研究開発は、エネルギーハーベスティング技術と並んで増加傾向にあります。本グループは、酸化
物半導体マテリアルのナノ光技術に着目して高い反射遮熱や断熱性能を実現させ、電波透過性やフレキ
シブル性を兼ね備えた熱線遮断フィルムを創出しました。本研究は、局所ナノ空間に誘起される近接場
効果を積極的に利用し、階層を超えたメートルスケールサイズの光学機能を制御する技術です。酸化物
半導体は、太陽電池やディスプレイの透明導電膜や電子デバイス等に幅広く利用されています。近年の
住宅やビルは、窓を構造体の一部として利用され、機能を有する窓応用の需要は高い。既存材料の高効
率・循環的な利用に基づき、豊かな人間社会を支えるナノマテリアルの開発を行います。
ACS. Appl. Mater. 14, 49313 (2022). ACS Appl. Nano Mater. 4, 6269 (2021)
ACS Appl. Nano Mater. 2, 2806 (2019). ACS Applied Nano Materials1, 1853
(2018)
透明酸化物半導体プラズモニックナノ粒子に立脚した熱線遮断技術 東レリサーチ出版(2017)
ACS Applied Materials & Interfaces8, 11749 (2016)Advanced Optical
Materials3, 1759 (2015)
Applied Physics Letters105, 041903 (2014)Applied Physics Letters104, 211903
(2014)