科研費基盤(A)

 

東アジア〈日常学としての民俗学〉の構築に向けて:日中韓の研究協業網の形成

(研究代表者:岩本通弥 課題番号:26244052、2014年度‐2017年度)

 

 

本研究はUNESCO「無形遺産条約」の成立により、その規定や制度に平準化されることで変質の激化した東アジアの民俗学が、もう一方の極に位置するドイツ民俗学の、市民運動的実践との協働性や、その鍵概念である〈日常〉を、如何にして包摂できるか、日中韓で各々特性の異なる民俗学の方法や蓄積を組み合わせ、「協業」することで、新たな展望を拓くことを目的とする。観光資源化や国家ブランド化に「動員」「回収」される傾向の強い東アジアの学的状況に対し、ドイツを範型に、リージョナルに分散する市民本位の文化政策や住民主体のガバナビリティを築く〈社会-文化〉概念等、何処の民俗学にも本在する、ソフト・レジスタンス的で主体的な市民実践や生活改善という〈野の学問〉的意義を再創造し、国際的な「多文化共生」の研究協業網を構築する。