1号館(時計台)
関東大震災後、東京市と東京帝国大学の再建の責任を負った内田祥三が、東大と旧制第一高等学校(通称一高)が一体感を持ちうるよう工夫して設計したものである。1号館周辺の樹木には、一高の象徴である西洋柏とオリーヴもある。第二次大戦中には、防空幹事となった一高生徒は、時計台から対空監視を行った。時計のある部分は6階で、正面左の柱上には目黒区の公共基準点No.2が設置されている。現在は、主に教養学部前期課程の語学の授業に使用されている。
1935年、本郷キャンパスの隣地、現在の農学部の敷地にあった第一高等学校と、当時駒場にあった東京帝国大学農学部とのあいだで敷地交換の話がまとまり、双方の移転が行われました。このとき敷地交換を求めた帝国大学側は、主要な建物を建造することを約束し、これによって現在の1 号館をはじめとする建物が、本郷キャンパスと同じ様式でつくられました。
戦後、第一高等学校が東京大学に包摂されたのに伴い、このキャンパスが本学部の敷地となりましたが、当時の建物のうち現存しているのは1号館及び講堂(900番教室)、図書館(現在は博物館)、101号館、ファカルティハウス(旧一高同窓会館洋館)です。キャンパスは第2次大戦中に被災して荒廃し、新制大学発足の草創期は、焼け残った第一高等学校時代の建物と、戦災後急造された教室から出発しました。駒場キャンパスには、東京帝国大学農学部時代からの桜なども現存し、さらに戦後、植樹に力を入れ、緑の復元につとめました。また、キャンパス北側には、1964年の東京オリンピック時に駒場グラウンドを世界各国の選手の練習場として開放したことへのお礼として、東京都から寄贈された桜もあります。いま駒場キャンパスがゆたかな緑に包まれ、珍しい樹木も数多く見られるのは、こうした歴史によるものです。
現在も長期的な景観保全を見据え、計画的な植栽管理を進めています。1980年代以降、主としてキャンパス西側に次々と研究棟が竣工し、研究施設が刷新されましたが、2000年代に入り、東側で、より豊かな学習環境を創造し、課外活動を支援する施設の整備が進められ、2002年に駒場図書館が開館しました。2006年度には、舞台芸術や音楽実習のための演習室、課外活動のための施設を備えた「駒場コミュニケーション・プラザ」が開館し、駒場キャンパスの雰囲気が大きく変わりました。
Information and Communication Technology(ICT)を活用した能動的な学習のためのスタジオ教室群を擁する21 Komaba Center for Educational Excellence(21KOMCEE)は、2011年度にWestが、2014年度にEastがそれぞれ完成しました。2015年度には、6号館が改修されて駒場国際教育研究棟として生まれかわり、駒場キャンパスの国際化がさらに充実しました。キャンパス北側では2018年度より、体育施設の整備が進み、2020年度には新たな第2体育館が完成しました。
関東大震災後、東京市と東京帝国大学の再建の責任を負った内田祥三が、東大と旧制第一高等学校(通称一高)が一体感を持ちうるよう工夫して設計したものである。1号館周辺の樹木には、一高の象徴である西洋柏とオリーヴもある。第二次大戦中には、防空幹事となった一高生徒は、時計台から対空監視を行った。時計のある部分は6階で、正面左の柱上には目黒区の公共基準点No.2が設置されている。現在は、主に教養学部前期課程の語学の授業に使用されている。
1号館と同じ内田祥三による設計・建設。一高時代には留学生(おもに清国から)が学んだ校舎。留学生たちも他の一高生同様に寮に住んでいた。ここで学んだ後に全国の旧制高等学校、そして帝国大学へと進学していった。
一高の本郷時代に設けられた倫理講堂が、駒場移転の際に大型化した。旧図書館(現駒場博物館)と相対した位置に、ほぼ同様の形で建設された。1号館と同じく内田祥三による設計である。内部には本郷時代と同様に正面左右には「田村将軍図」と「菅公図」が掲げられた。学生運動の嵐が吹き荒れていた1969年5月13日、三島由紀夫が東大全共闘「伝説の討論会」を繰り広げた場としても知られている。
大学院総合文化研究科・教養学部の附属施設で、美術博物館(1951)と自然科学博物館(1953)が駒場博物館として統合された(2003)。本学の研究・教育を紹介する特別展や所蔵品展を年に3-4回開催している。一高関連資料(人事、教務、教材、学生寮、部活動の記録など)が多く、その他には考古学、古美術、現代アート、鉱物、化石、骨格、昆虫、実験機器などの資料を所蔵している。収集している展覧会カタログはOPACにて公開している。
一高時代の寮(南寮、中寮、北寮、明寮)があったエリアは、現在、図書館、購買、食堂等、学生のための空間として整備されている。中庭には、中寮の柱跡を埋設照明で示しているほか、中寮入り口付近にあった地下道への入り口階段を囲っていた壁面の一部も残されている。地下道は寮から特設高等科、本館、図書館等へと通じていた。南館西壁には、学外の方々にも広く駒場キャンパスの歴史を伝えるため、「歴史ギャラリー」パネルが設置されている。
一高同窓会によって建てられた同窓会館。洋館と和館があったが、現存するのは洋館のみ。2004年に全面改修し、東京大学のゲストハウスとしてオープンした。昭和初期の建物で、全体的なデザインやエントランス、1階から2階に上がる階段部分などは当時の面影を残している。アールデコの雰囲気を感じさせる建物の1階は、幅広く気軽に楽しめるブラッスリー(大衆的なフレンチレストラン)となっている。