航空機設計教育

1.はじめに

本研究室では大学と大学院における航空機設計教育を担当しています。 ここでは、この航空機設計教育について説明します。

2.設計教育の目的

東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の教育理念は、
1)未開拓技術の宝庫であり産業としての発展の可能性が大きい航空宇宙工学
2)先端的技術を他分野へスピンオフする航空宇宙工学
3)システム統合化技術の象徴である航空宇宙工学
としてまとめられています(本専攻のHP参照)。 これらの教育理念を実現するために重要な役割を果たしているもののひとつが、 設計教育です。設計教育を通じて、 学生には上記教育理念の3番目を習得することを目指しています。 学生は空気力学、 構造力学や飛行力学といった種々の航空宇宙工学の専門知識 を集大成して一つの工学システムすなわち航空機システムを統合する機会が与えられ、 このいってみればシステムインテグレーションの過程を経験した学生は、 航空宇宙機に限らず各種工学系に関するシステム統合能力が育成されると考えています。

3.学部における航空機設計教育

図1に当専攻における設計教育の概要について示します。 東京大学では、教養学部(駒場)在籍中の学部2年の冬学期(後期)から専門科目の講義が開始されます。 まず2年の冬学期においては, いわば「航空学入門」と言われるべき講義が開講されます。 本郷へ移った後の3年の冬学期から1年間にわたって「航空機設計」の講義が開講されます。 この1年間の講義を通じて、 与えられた設計要求を満たす機体の主要諸元を求め、 機体三面図を描き、さらにその設計のRefineを行って設計機体の評価を行うところまで行われます。 これらの作業は「航空機概念設計」と呼ばれています。 (実機の開発では、この後「初期設計」、 「詳細設計」が行われ、試作機の製造…へと繋がります。) 学部4年では,卒業論文の提出後の12月から2月末までの約3ヶ月間, いわゆる「卒業設計」が行われます。学生一人一機の設計を基本として, 学生が設計する機体の要求仕様を自身で決定した上で概念設計と初期設計の一部を行います。 航空機設計の範囲としては,単発飛行機から, 超大型旅客機,超音速旅客機,宇宙往還機まで多岐にわたります。
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図1 航空機設計教育

4.大学院における航空機設計教育

学部において航空機概念設計の経験を有し、 かつ専門知識をより深く有している大学院生を対象として、 大学院レベルの高度な設計教育を行っています。 大学院では異なる専門分野を有する学生数名によって構成されるグループによる設計を行って、 より高いシステム統合能力を育成することを目指しています(図1参照)。 学生グループが設計とりまとめ、空力設計、構造設計、飛行性、推進系、 性能推算、等の各担当にわかれて設計を行います。 学部では有人機を紙の上で設計するのみでしたが、 大学院では、有人機の設計に加えて無人小型機(UAV、MAV)も取り扱っています。 無人小型機ですと、設計だけではなく機体製作と飛行試験まで行う事ができます。

設計機体ギャラリー

航空機設計教育ならびに当研究室の活動で概念設計された機体 (無人機は実機製作、飛行試験された機体を含む)の一例を示します。
下の画像をクリックすることで見ることができます。
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参考文献

李家賢一、連載 国産航空機に向けての展望、大学(学部)における航空機設計教育、 日本航空宇宙学会誌、Vol.51、No.588, 2003年1月, pp.3-6.
李家賢一、特集「大学の設計製作飛行活動」、 大学・大学院での航空機設計教育における展開、 日本航空宇宙学会誌、Vol.54、No.624, 2006年1月, pp.20-23.
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