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InterviewCOG審査委員リレーインタビュー企画:
第1回 城山英明 審査委員長

――これまでのCOGの審査のご経験からお感じになっていることについて

 もともとチャレンジオープンガバナンスというのが、データをどのように活用して社会の課題を解決していくかいくかということから始まっていったんだと思います。同じような趣旨の試みというものがほかにもあるんだと思いますが、その中でのCOGの特徴は、ガバナンスの側面を強調していること。ガバナンスはいろんなアクター、関係者が連携して社会問題を解決するという連携の在り方、自治といったところがCOGの特徴。
COG2020キックオフイベントでも、どういう形で関係者が連携していくのかというダイナミックなプロセスが議論になっていた。同床異夢という言葉を使ったが、それぞれステークホルダーがいろいろ関与したい思いを持っていて、それを大事にしつつ、間をうまく翻訳して、インターフェースを作っていくというのがCOG。社会課題を共同で解決するということは、単に効率的に物事を解決していうだけでなく、別の評価基準というか、目的もあるのではないかと思う。

 ある側面でいえば、行政が全部やるのではなくいろんな人を巻き込むというのはコストを下げるという意味もあるが、いろんな思いを持った人が関与することで、社会的なウェルビーイングというか、達成感なりやりがいのようなものを社会のいろんな人が感じるという別の価値基準というのもあって、そういったものも、徐々に見えてきている。

――これから参加を考えている人、まずは自治体に向けて声掛け

 自治体の方は日々忙しい。その中で、かかわっていくことのメリットを考えないといけないかと思う。行政の外から見ると、役所も組織なので、組織の職務を超えてやることが難しい側面があるんだと思う。やっている中で「こういうことができれば面白いんだろうな」と気づいても、踏ん切りがつかないというか、飛び越えてすることはできないという思いを持っている。

 そういう時に、外の市民なり学生を巻き込むことは、中で人を巻き込むためのツールになるという側面がある。役所の中では「自分の担当はここまで」と言わざるを得ないんだろうが、外の人との関係ではそれを言えないし、外の人からすると、「担当なんて関係ないでしょ」といわれるかもしれない。外の人を巻き込むことで、中の人を巻き込むいい口実というか、きっかけにできる。

 今のタイミングでいえば、ポストコロナ、ウィズコロナということで、自治体の現場ではむしろ従来以上に給付金の配分といった伝統的な仕事が過剰にきていて大変だとお感じだろうが、逆に、コロナの話はテレワークや従来とは違うライフスタイルを市民に考えてもらうという仕事も増えていると思う。市民や学生に一緒に考えてもらうにはいい素材。忙しいとは思うが、新しいことをやっていただくいいチャンスだと思っていろいろ考えていただければと思っている。

――自治体にアイデアを出す市民や学生に向けて

 これはCOGを考えてきた中でのコンセプトの一つ。市民や学生が政府や役所に単に苦情や要求をするのではなく、一緒に課題を解いていくという経験をしてもらいたい。なかなか難しいのは、市民といってもいろんな人がいるということがあるので、そういうことを実感してほしい。学生に授業でも言っているのだが、「世の中というのは思いの外、複雑だ」ということがあって、いろんな人がいろんな思いを持っている。それを分かった上で、何が一緒にできて、何が一緒にできないかということを経験するということは、まさにCOGは一つの実験だし、それだけでなく、社会で何かをやっていく上でのいい経験になる。いろんな考え方、価値観が違う人とどうやって一緒にやっていくのか、その難しさも含めて経験するいい機会になると思うので、いろんな観点からかかわっていただきたい。

――最後に今後のCOGに期待することを

 COGの特色は単にオープンデータだけではなく、デジタルの技術も使いつつ、いろんなアクターが連携していく、ある種実験していくということ。ぜひいろんなパターンというか「こういうやり方があったのか」というある種のやり方のイノベーションをやっていっていただきたい。コロナとの関係という意味であれば、抽象的になるが、今までオープンガバナンスということでデジタルの技術を使いつつ社会の課題をどう解いていくかということで、人間とデジタルの技術の関係やあり方が一つの焦点だったんだろうと思う。

 一方で、ポストコロナでは、同じく「人間と何か」の関係性が問われている。コロナの原因として、人間と動物の距離が近くなりすぎて人畜共通の感染症が出てきているところがあって、人間と自然の距離の取り方というところもある。感染拡大フェーズでは、人間と人間の距離の取り方も問われている。人間とデジタルの距離の取り方というのと同時に、人間と人間、人間と動物の距離の取り方みたいなことが問われていて、そういうことは抽象的に考えるのではなく、日々の実践的の中で考えていくことが重要だと思う。そういうことを考えるいろんなケースがあるのだと思いますので、ぜひ、そういう観点でも、いろんな試みを開拓していってほしいと思う。