東京大学大学院総合文化研究科本吉研究室

研究内容Research

速い視覚: 直感的把握を支える統計的情報処理Fast vision

サンプルイメージ

人間の視覚システムは,複雑な映像のなかに潜む統計的な性質を巧みに利用して,日常の複雑な光景や事物を「ひと目で」知覚することができます.本研究室では,この素早く効率的な知覚を支える脳の情報処理の仕組みとその限界を,自然画像やテクスチャパタンに対する弁別成績や脳波を分析することにより明らかにしようとしています.それにより,人間に独特の「直観的な把握」の根底にある原理を理解することをめざしています.

遅い視覚: 精査と熟慮を支える意思決定機構Slow vision

サンプルイメージ

私たちは映像のなかの全ての側面を「ひと目で」知覚することはできません.複雑な光景の詳細をより正確に把握するため,視覚システムは視線や注意の向け方を変えながら何度も情報を取り入れ,統合し,最終的な判断をします.本研究室では,この系列的なサンプリングに基づく知覚的意思決定の仕組みを,古典的な注意研究とは異なる心理物理学的実験と計算モデリングを駆使して明らかにすることをめざしています.

質感と色彩の科学Perception of color and materials

サンプルイメージ

私たちは物の表面の色や光沢,透明感などを簡単に見わけることができます.本研究室では,この質感知覚を支えている脳の情報処理を総合的な見地から研究しています.実物や物理シミュレーションで作成した表面の画像特徴を計算し,それが人間の知覚する質感とどのような関係にあるかを分析したり,新しい錯覚を用いて知覚情報の脳内表現を探ったりしています.基礎研究の成果を骨太の感性技術に応用する研究もしています.[詳細]

映像と音声の快不快Visual (un)pleasantness

サンプルイメージ

人間は見た目がきれいで心地よい物に惹かれ,また醜く気持ち悪い物を嫌います.この感情的な反応は,画像のもつある種の特徴そのものにより引き起こされる面があります.本研究室では,視覚的な快不快や美醜の感覚を引き起こす画像の特徴量がどのようなもので,また脳内でどのように処理されるかを,自然画像解析,心理物理学実験,脳波計測を駆使して明らかにし,人間が感じる画像や音声の心地よさ・悪さを予測するモデルに迫ろうとしています.

知覚の時空Space, time, and motion in mind

サンプルイメージ

物理的には,私たちは均質で連続的な四次元の時空を生きているといわれます.しかし,知覚世界の時空は均質でも連続的でもありません.瞬間には幅があり,未来が過去を塗り替えたりします.本研究室では,知覚の時空がどのような構造をもつのか,あるいは位置や順序,運動,連続性といった事物の基本的な属性がどのような情報処理メカニズムに基づいて認識されるかを,様々な錯覚現象を駆使して明らかにしようとしています.

意識と注意Awareness and attention

サンプルイメージ

認知情報処理は意識下で進みます.意識に上るのはごく一部の情報ですが,それが私たちの内省的で知的な行動を可能にしています.本研究室では,見えるはずのものが全く見えなくなったり,動画がコマ送りに見えてしまったりする不思議な錯覚や幻覚を利用して,感覚情報が意識に上るかどうかを決めている神経情報処理の仕組みを明らかにしようとしています.意識と密接に関連した注意のメカニズムも研究しています .

芸術の脳情報学Computational aesthetics

サンプルイメージ

美とは何でしょうか? 単なる好き嫌い以上のものでしょうか? 本研究室では,絵画や楽曲など芸術作品そのものを多世代の膨大な人々による審美判断のデータであるとみなし,それらを脳の視聴覚情報処理モデルに基づき分析することによって,美の普遍性や多様性,その地理的歴史的展開を明らかにする分野横断的な研究をしています.現代人による嗜好のデータとも照らし合わせ,美を決定づける脳の計算原理を理解することをめざしています. 

Design by Megapx
Template by s-hoshino.com