肝臓がんの治療について

肝動脈塞栓術とは

肝動脈塞栓術イメージ
肝動脈塞栓術イメージ
肝動脈塞栓術イメージ

肝臓は、門脈(もんみゃく:腸から肝臓に流れ込む血管)と肝臓の動脈(:肝動脈)という異なる2種類の血液が供給されています。肝臓そのものは門脈からの血液で供給され、肝動脈から供給される割合は30%程度しかありません。その反対に、肝臓がんは主に肝動脈から供給されています。

肝動脈の血流を止めてしまえば、肝臓そのものも少しダメージを受けますが、門脈があれば大丈夫です。しかし肝動脈が止まると、肝臓がんは栄養源を絶たれたのも同然です。このように、がんを「兵糧攻め」にする治療が肝動脈塞栓術です。塞栓術は、足の付け根からカテーテルという細いチューブを入れて行います。

肝臓がんに血液を供給する肝動脈が見つかった場合、その動脈にカテーテルという細いチューブを入れ、抗がん剤を流してがんだけを集中攻撃します。更に、その肝動脈に詰め物をして血流を止める方法が普及しています。

肝動脈塞栓術のなかでも「カテーテルを経由して、肝動脈に抗がん剤と塞栓を行う治療」は、英語表記のTranscatheter Arterial Chemo-Embolizationから頭文字をとってTACE(テイス)、抗がん剤を使わない場合はTAE(ティーエーイー)と呼ばれます。

治療前のCT (図3)では肝臓内に3cm程度の肝細胞がん (赤矢印)と腫瘍への栄養血管 (黒矢印)を認めています。血管造影 (図4)におきましても同部に肝がんを示す染まり (赤矢印)、他部位にも同様の所見を認めました (黒矢印)。動脈からがんに対して抗がん剤及び詰め物を注入することで腫瘍の染まりが消失し (図5の黒矢印)、治療後に行ったCTでは肝動脈に注入した詰め物が病変内にしっかりと集積されている様子が確認されました (図6の黒矢印)。

肝動脈塞栓術を行うとき

肝臓がんの大きさ・個数・肝臓の機能が原因で、手術やラジオ波焼灼療法が難しいケースでも、肝動脈塞栓術は可能なことがあります。治療成績は手術やラジオ波焼灼治療の方が優れていますが、肝動脈塞栓術は様々な患者さんに対応でき、より治療効果を上げることを期待して、手術やラジオ波焼灼療法を行う前に肝動脈塞栓術を行うこともあります。

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