東京大学工学系研究科機械工学専攻 金子・山﨑研究室

斜張橋に使われるケーブルに発生する渦励振のアクティブテンションコントロール

斜張橋に使われるケーブルに発生する渦励振のアクティブテンションコントロール

横浜ベイブリッジのような橋は斜張橋と呼ばれる。斜張橋にはケーブルが文字どおり斜めに張られており、風によってケーブルの背後にできる渦は横振動を引き起こすことが問題となっている。景観を損ねることなく対処する方法として、張力をアクティブにコントロールして横振動を制振するシステムについて理論的実験的研究を行っている。現在は、大型風洞を使って、システムの成立条件について検討を続けている。

(左)斜張橋とセンサアクチュエータ部の概略図(右)大型風洞での実験

高速増殖炉冷却系炉壁の自励振動と液面揺動の動特性

核燃料サイクルに欠かすことのできない高速増殖炉の形式として「もんじゅ」のようなループ型炉ではなくタンク型炉が候補に挙がって いる。熱応力の影響を避けるために炉壁冷却系に用いられる壁は薄く、流体と 炉壁が連成して自励振動が発生する可能性があるため振動が発生しないような 設計指針を構築するための研究を行っている。また、地震時の液面揺動への炉 内流動の影響についても検討を続けている。

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(左)旋回流をともなうスロッシング、(右)薄肉円筒弾性堰のいつ流による自励振動

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高速増殖実証炉1号

ターボポンプの軸方向自励振動

ロケットエンジンに使われているターボポンプで発生した軸方向自励振動について研究を行っている。ターボポンプは1分間に約4万回転で高速回転するため、中を流れる旋回流と軸計が連成して半径方向振動を励起することは従来から知られていて、これに対する対策は、設計段階からとられていたが、最近経験した軸方向振動については励振機構の理論的解明が急がれている。

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(左)ターボポンプ断面図(右)液体水素 ターボポンプ

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H-2ロケット

平行円板間に発生する非定常流れ

磁気ディスクのように2枚の円板によって挟まれた回転場には、慣性振動と呼ばれる振動的な非定常流れ場が発生することが知られている。ここでは、実際の磁気ディスクのように、外側にシュラウドがあり、かつヘッドが円板間に挿入された場合について流れの可視化を行うことによって、非定常流れの発生の有無、特徴について検討を続けている。

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(左)ハードディスクの外形(右)流れの可視化: ヘッドあり

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流れの可視化: ヘッドなし

液体搬送時のスロッシングの制振

医薬品、化粧品、接着材を始めとするファインケミカル分野や食品工業において生産性を向上させたパイプレスプラントと呼ばれる生産方式が提案されている。従来のバッチプロセスでは、複数の原料貯蔵タンクと混合槽の間はパイプで接続されているのに対し、この新しいプラントでは、パイプの代わりに混合槽を移動式搬送車に搭載し、直接、原料を混合槽に充填する。生産性を向上させるためには、混合槽内の液体の液面振動を抑えながら混合槽を高速で移動させ、所定の位置に精度よく停止させる技術の開発が必要である。最適制御理論を適用することによって移動中の液面振動および停止後の残留液面振動を抑制するのに最適な液体搬送車の駆動パターンを提案することを目的として研究を行っている。

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パイプレスプラント

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(左)液体搬送車(右)実験装置

液体内蔵回転体の自励振動

液体ヘリウムを内蔵して回転する超電導発電機、固体と液体を分離するための遠心分離器、理化学用遠心分離器を始めとする内部に界面を持つ高速回転体では界面の振動と軸振動の連成作用によって自励振動が発生することが知られている。これまでに波動の可視化、発生機構の解明について研究を行ってきた。現在は、界面波動をダンパーとして利用することにより、全自動洗濯機のふれまわり防止に役立てるための基礎研究を行っている。

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遠心分離器の構造

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遠心分離器の構造

管群に発生する自励的音響共鳴

加圧水型原子炉の蒸気発生器やボイラで使われている熱交換器はおびただしい数の管から構成されている。このような管群では、ある流速になると自励的な共鳴音が発生することが知られているが、発生機構については未解決のままである。管の後ろで発生する渦の放出振動数と管群が納められている管路系の共振振動数と固有モードの関係によって現象を整理することができることが分かり、研究を続けている。

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蒸気発生器 U字管部

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(左)群管まわりの流れの可視化(右)実験装置

同調液体ダンパーの制振性能

横浜ランドマークタワーに代表される高層ビルや斜張橋の主塔には、風による微震動を押さえるために同調ダンパーが搭載されている。ダンパーの質量として水を用いたシステムが同調液体ダンパーである。これまで風のような小さな入力に対する制振性能を明らかにするため、ダンパー形状、ネットの効果、液深の影響などについて検討を行ってきた。現在は、ダンパー容器内部を流れる流れによって制振性能を可変にすることでできるシステムの開発をめざしている。

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同調液体ダンパの利用例

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(左)スロッシングダンパの模型 (右)科学博物館での展示の様子

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