一行日記

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2009年6月1日(月) 完成

ついに、連続時間量子モンテカルロ法を用いたDMFTのプログラムが完成した。バグはプログラムの中ではなく、ノートの上にあった。最大エントロピー法を使って状態密度も計算できる。一体のGreen関数が求められるようになったので、次は感受率でも計算してみよう。やっと一歩前進。論文を読みはじめてから二ヶ月もかかってしまった。次のステップは果たしてどのくらいか。

2009年6月2日(火) Proof

PR編集部からProofが送られてきたので、直すべきところを指摘したりしていた日。図のアスペクト比が変化していたりしたところがあった。夕方には送ることができたので、とりあえずほっとした。最近のPRBは英文校閲をしてくれるらしく、結構細かな点が直されていた。有料になったからだろうか。

2009年6月3日(水) マニュアル

加藤研の計算機の簡易マニュアルを作った。現在のメンバーで主に計算機を使っているのが自分だけなので、PDF化しておけばあとあと役に立つだろうと考えた。M1の國見君が、文関数という自分の知らないFortranの記法を使っていた。一行で済む関数の場合、宣言文の終わりf(x,y) = 2*x**2+3*yのように書いておけば、f(2,4)などのような計算ができる。知らなかった。また、Linuxで./a.out > a.dat &と書くと、バックグラウンドでa.outが実行されてwrite(*,*)で出力されたものがa.datに記入されることも知らなかった。

2009年6月4日(木) ランチセミナー

今日は吉岡研加藤研ランチセミナーの日。担当は仲井君だった。量子ホール効果と量子スピンホール効果のトポロジカル不変量についてのレビュー。こういう不変量を見つける人ってどのようなきっかけで見つけるのだろう。
今日の自分は、ctQMCを使って二粒子Green関数を計算するプログラムを書いていた。ctQMCを使うと、Wickの定理を使ってとても簡単に二粒子Green関数を計算できる。ただし、とても簡単にというのは解析的に表式を求められるという意味であり、実際に数値計算する際には、四変数あるので大変。時間の並進対称性を使ってもまだ三つ変数がある。

2009年6月5日(金) 物性セミナー

藤堂 眞治氏の「スピンパイエルス状態に対する不純物効果」という話。量子モンテカルロ法を使った研究。さまざまなアルゴリズムがあるのだなあと思った。
自分の研究は、相変わらず連続時間量子モンテカルロ法。とりあえず厳密に解けるsingle atomのHalf-Fillingのハバード模型の二粒子Green関数を計算して、ちゃんと厳密解に一致することを確かめた。ただ、いまのプログラムソースだと遅すぎて虚時間のスライスが32個しかとれないのが問題だ。三変数あって、それぞれが三重積分で表現されているためにループが多くて遅くなっている。もうちょっと再利用できる部分を増やして速度を上げなければ。

2009年6月8日(月) はやあがり

暖房設備の点検とやらがあるために、今日は早く帰った。朝九時についたので午前中を有効活用できたと思う。プログラムをうまいこと部品を再活用できるように書き換えたら、段違いに速くなった。家に帰ってからも計算しようと思ったのに、今日部屋の電源の配線とLANをつなぎかえたせいか学外から計算機につなげられなくて困った。

2009年6月9日(火) 精度

ctQMCの精度が妙に悪いなあ、特に高温で合わないなあ、と思って色々調べたら、モンテカルロステップが展開の0次の項へステップしていなかったせいだということがわかった。0次を訪問するようにちゃんと書くと、見事にあった。よく考えれば当たり前で、摂動項がゼロになる場合にはモンテカルロステップは0次しか訪問しないのだから、0次はきちんと考えるべきだったのだ。

2009年6月10日(水) 出版

グラフェンの論文がJPSJに、界面状態の論文がPRBに無事出版された。ほとんど同時にarxivに投稿した二つの論文が、ほとんど同時出版されたことになる。めでたい。PRBはProofを送り返してから一週間以内に出版されたのに対して、JPSJはProofから一ヶ月くらかかった。PRBは通りさえすれば早いことがわかる。

2009年6月11日(木) ランチセミナー

今日は毎週恒例の吉岡研加藤研のランチセミナーだった。担当は田代君。朝永ラッティンジャー流体について。一次元の系は自分はあまり知らないので、何かの機会に勉強したいなあと思っている。

2009年6月12日(金) 物性セミナーの無い金曜日

今日は物性セミナーがない日だった。虚時間二粒子Green関数のフーリエ変換について調べていた。二粒子Green関数は演算子が四つあるので、虚時間一粒子Green関数より複雑だ。特に、演算子の四つそれぞれにすべて虚時間を割り当てると、全部で足が四本になる。この四本の足は時間の並進対称性から三つになり、時間並進対称性からエネルギー保存則が導出できるはず。だが、一粒子Green関数と同様の方法ではいまいちうまくいかない。そもそも、松原振動数のフェルミオンとボソンの違いというのが、うまく導出できない。うまいやり方があると思うのだが、二粒子Green関数を扱った本はほとんどが天下りに定義を与えているか、時間の足が四つもない。

2009年6月13日(土) 文書が来た

某所より文書がやってきた。あとは学位さえ取れれば無事来年度から研究職だ。とてもうれしい。幸運に感謝。

2009年6月15日(月) フーリエ変換とFast Update

虚時間の二粒子Green関数のフーリエ変換はどう考えても現実的な時間内で実行できない気がしてきたので、他の手を考えていた。文献を調べたりすると、一モンテカルロステップごとの差分を足し上げて一粒子Green関数の松原表示を計算しているものがあった。これは使えるんじゃないかと思い、自分のctQMC用に式を変形。うまく行きそうな気がするので、とりあえず松原表示のGreen関数を直接(虚時間表示を経由しない)計算するプログラムを書いていた。

2009年6月16日(火) ctQMC中断

ctQMCを一時中断することにした。国際会議でvortex関係のことを話す必要がでたため。というわけで書いてはいるが投稿していない論文を読み返してリハビリ。

2009年6月17日(水) vortex

ひさびさに準古典近似の方程式を手で解いた。きれいに解けると気持ちがよい。

2009年6月18日(木) いきづまる

fractional vortex 関係がいきづまっている。なんとか打開策を考えたいのだが、どうしようか。

2009年6月19日(金) 物性セミナー「結合振動子系の振動子レベルとネットワークレベルの応答をつなぐ」

郡 宏 氏のセミナー。個々の振動子から全体の振動がどのようにつながっているかという話。蛍が一斉に同期して光の波を作るらしい。複雑な系をあんなに単純なモデルに置き換えてよいのだろうかと思いつつ、聞いていた。

2009年6月21日(日) ハイキング中止

ハイキングは雨で中止となり、懇親会が渋谷で行われた。小形研はDの学生がたくさんいる。

2009年6月22日(月) d vector

カイラルp波とマヨラナ粒子について勉強している。いま何がトレンドかが知りたい。

2009年6月23日(火) 談話会

今日は談話会があり、 金子氏の『コンピュータ将棋とコンピュータ囲碁の最近の進歩』だった。コンピュータ将棋はここ2、3年にブレイクスルーが起き、とても強くなっている。その秘訣として、人間の棋譜からの機械学習があげられる。どのような手がいい手なのか、ということがそもそも数値化しにくいので、人間の手が指したというのを高得点とする、という話。とても面白かった。

2009年6月24日(水) 水曜日

来週に原子力機構でセミナーを行うことになったので、そのスライドを作っていた。タイトルは「Dual Fermion DMFTとcontinuous time QMC」。まだ勉強の域を出ていないのでレビューとなる予定。

2009年6月25日(木) スライド

原子力機構でのセミナーのスライドを作り終わった。セミナーまでに改めて読まないといけない論文がいくつかあることがわかった。鉄系の論文を書かなければいけないのだが、どうも気が乗らない。気が乗るのはいつだろう。7月になったら乗るといいなと思う。

2009年6月26日(金) 物性セミナー「電荷秩序転移近傍の揺らぎに起因した相分離現象の理論研究」

吉見 一慶 氏の有機導体の話。拡張Hubbard模型をダイヤグラムで計算していた。話者がセミナーに慣れていないせいか、あまり内容がよくわからなかった。イントロをもっと充実させてほしかった。

2009年6月29日(月) D論

D論の構想をそろそろ練った方がよいかなあと思って、なんとなくchapterを作った。そして、Appendixをひたすらに書いていたらすでに総ページ数が25ページになっていた。
今日のArxivに「スーパーマリオの監獄脱走」というタイトルの論文があった。
http://xxx.yukawa.kyoto-u.ac.jp/abs/0906.3958
Figureにマリオの絵があった。びっくりした。

ドラクエ9がでるときにあえてドラクエ8をやってみることにした。土曜日に買った。980円だった。

2009年6月30日(火) ctQMC

ひさびさにctQMCのソースをながめてみた。Green関数の虚時間表示の計算をしてからフーリエ変換で松原振動数表示のGreen関数を得るプログラムはできているのだが、Green関数の松原振動数表示を直接高速に求めるプログラムにバグがあったまま、三週間くらい放置していた。忘れかけくらいに見ると、間違っている箇所がどんどん見つかる。そしてバグがとれた。各モンテカルロステップごとに松原振動数表示のGreen関数を求められると、そのステップごとに二粒子Green関数がWickの定理で計算できる、はず。

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