一行日記

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2007年12月1日(土) 始動

滞ってたことや、新しくはじめたかったことをはじめることにした。やることがたくさんある。DMFTをやるために量子モンテカルロ法を勉強したり、量子スピンホール効果を勉強したり、論文を書いたりしよう。とりあえず、例の思いつき関係の問題に決着をつけたいので、ちょろちょろと計算をした。

2007年12月3日(月) 強束縛近似

わけあって、グラフェンのバンド分散を強束縛近似で求めようとしていた日。まだ理解が足らない箇所が多い。とりあえずディラックポイントを求めたい。
また、「arXivに載せる画像のサイズ縮小のコツ」というメモを作ったのでアップロードした。今日、ファイルサイズ縮小についてたずねられ、きっとこのコツは需要があるんじゃないかと思い、htmlにしてみた。自分の方法は一回ビットマップ形式にしてしまうのでEPSの利点(拡大縮小しても綺麗)が失われてしまうが、cond-matに公開するような場合は問題はないと思う。いままでのcond-matの論文はすべてこの方法でファイルサイズを小さくしている。

2007年12月4日(火) 安立さんセミナー

今日はETHの安立さんのセミナーがあった。強磁場極限での準古典理論を越えた計算を使っていた。1粒子ハミルトニアンに磁場中の自由電子のハミルトニアンを使っていた。分野が近いため非常に興味深く聞けた。その後、いつものお好み焼き屋でみんなでごはんを食べる。冷却原子業界やvortex業界の今後についての話を興味深く聞いていた。

2007年12月5日(水) 基礎物理学実験

今日は久々に基礎物理学実験のTAをした。冬学期の後半に入り、前半に化学実験をやっていた理23類の人が実験に参加して二回目になる。そのせいか、実験にてこずっていた人が少なからずいて、終わったのは8時を過ぎていた。

2007年12月6日(木) 東工大へ

東工大の井澤さんとYNi2B2Cに関する議論をするために、午前中大岡山へ行った。未出版の修士論文のデータなどを見せてもらい、また実験家サイドとしてはノード構造に関してどう思っているのか、等を聞いた。やはり直接行って議論する方が得るものが多いと感じた。午後はプログラムのバグを直すことについやした。どうにも原因不明だったので、新しく一から書き直した。

2007年12月7日(金) 転送行列

転送行列の方法を勉強していた。駒場の自然科学図書室は本が足りない。見たい本がない。駒場図書館に行けばいいのかもしれないが、遠い。そして明日から二日停電で駒場図書館は休館日だ。渦糸国内会議が近づいてきた。まだスライドを作っていない。結果がうまく出ていないのが問題だ。

2007年12月8日(土) 計算

プログラムのバグを何箇所かで発見した。いままで使っていたプログラムを拡張した箇所にバグがあった。拡張部分だけおかしかったので、ほかのプログラムには影響はない。

2007年12月10日(月) 局在長の計算

二次元の場合のタイトバインディングハミルトニアン+ランダムポテンシャルでの、転送行列を使った電子の局在長を求めるプログラムを作ってみた。擬一次元系の幅L長さWのバーの幅Lを大きくしていくと、次第に局在長がLに依らなくなるのが見えた。つまり不規則ポテンシャルのある二次元電子系のバルクでは絶縁体である。というような計算をしていたら、もう渦糸物理国内会議まであと二日しかなくなってしまっていた。というわけで家に帰ってスライドを作り、日付が変わる頃にはなんとか14枚ほど作った。

2007年12月11日(火) 局在長の計算2

プログラムがどうやら間違っていたようだ。また、まだ原理をあまり理解できていないようだ。なぜならば、3次元でランダムポテンシャルが非常に小さいときでも有限サイズスケーリングで絶縁体になってしまうから。困った。

2007年12月12日(水) 渦糸物理国内会議@京都 1日目

京都の関西セミナーハウスで渦糸物理国内会議があった。12時ごろ京都駅に新幹線で着き、地下鉄烏丸線で松ヶ崎駅下車。コンビニで現金をおろそうと思い近くのサンクスに寄ったが、ATMがなかった。しょうがないので、携帯電話のGPSで銀行を探し、隣駅まで歩き信金でおろした。なんとか13時の送迎バスに乗ることができた。

2007年12月13日(木) 渦糸物理国内会議@京都 2日目

自分の発表があった。タイトルは「磁場回転比熱の理論的解析:Doppler Shift法の使用上の注意と新しい解析手法の提案」。ドップラーシフト法はどこまで信頼できるかということと「例の思いつき」の解析について話した。なかなか盛況でよかった。

2007年12月14日(金) 渦糸物理国内会議@京都 3日目

あっという間に三日目。ジョセフソン渦糸などの話他。高温超伝導のシミュレーション研究も楽しそうだなと思った。12時で会議は終わり、そのあとは市岡さんと中井さんと昼食を探しに1時間ほど歩いた。京都の街はやはり良いなと思う。

2007年12月15日(土) 金属絶縁体転移

プログラムがずっとうまくいかなくて悩んでいた。Fortran90では行列同士の積やベクトルの内積等配列演算関係の組み込み関数があることに気づいた。それらを使ったら非常にシンプルなプログラムになった。しかし、うまくいっていない。全部金属になってしまう。

2007年12月17日(月) アンダーソン転移

三次元単純格子のアンダーソン転移のプログラムのバグが取れた。メルセンヌツイスターによるランダムポテンシャルの強さを強くしていくと、Wc = 16.5 V付近で金属から絶縁体に転移する。これは系のサイズを大きくしたとき局在長が大きくなるか小さくなるかで判定できる。系のサイズが大きくなったときに局在長が長くなればそれはバルクで金属である。さらに、そのプログラムをFortran 77の記法からFortran 90の記法に変えてみた。つまり、commonを使わずにmoduleを使う記法に改めた。いままでは基本Fortran 77で一部90の文法を使っていた。これからはアンダーソン転移関連のプログラムはすべて90で書こうと思う。
最近、午前と午後で研究する対象を超伝導とアンダーソン転移に切り分ける試みをしている。

2007年12月18日(火) ダイヤモンド

アンダーソン転移関連の練習問題として、次は単位格子ではなくダイヤモンドの結晶格子の場合のプログラムを作ろうと思い、考えていた。単純格子と違い、原子が単位胞内に8つあり、しかも面内にない原子がいるので構造を描きづらい。構造を把握し、転送行列法のプログラムに取り込みたい。一度きちんと考えてハミルトニアンを行列として書き下すことができれば難しくはないと思う。超伝導の方は、ドップラーシフト法の適用範囲について考えをめぐらせていた。

最近「生物と無生物のあいだ」を買って読んだ。これは学部時代の友人におすすめされていた本だったのだが(彼は今京大で生物物理の研究をしている)、非常におもしろかった。特に、DNAの二重螺旋の発見にまつわるエピソードと生命とは何なのかについての人間の理解の進展は興味深かった。

2007年12月19日(水) 特異行列

ダイヤモンド格子の場合の定式化をしようとすると、逆行列をとりたい行列が特異行列となっていて困った。うまい座標系のとり方を考えれば回避できる問題ではあると思うのだが、難しい。今日はあまりはかどらなかった。

2007年12月20日(木) ランチセミナー

今日はランチセミナーだった。いつもどおり12時半だと思って行ったら違った。13時15分だった。高橋君の縮約密度行列の話。

2007年12月21日(金) Gnuplot

Gnuplotにはデータのプロットでお世話になっている。いつもはグラフだけをGnuplotに描かせて凡例や軸その他はイラストレータに描かせていたが、今回、ためしにGnuplotだけで論文用の図を描いてみた。試行錯誤しながらも、結構きれいな絵ができた。

2007年12月22日(土) ver. 9

PRLに投稿したい論文のver. 9が出来上がったので林さんにメールで送った。論文の伝えたいことが何かをはっきりとさせるため、ver. 8をかなり書き換えた。次はダイヤモンド格子だ。

2007年12月24日(月) 逆行列

逆行列がない行列があらわれてしまってプログラムがたちゆかない事態になっている。が、これは系をプログラムとして実装する際に起きている人為的なものだろうと予想している。というわけで久々に線形代数を調べてみた。

2007年12月25日(火) 転送行列の固有値

転送行列の固有値が物理的に何を意味しているのか、それを考えていた日。もう少しでうまくいきそうな気がする。

2007年12月26日(水) 帰省

帰省した。1日の飛行機で戻ることにしている。APSからメールが来たので返信をした。

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Akiary v.0.51