池田グループ
東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系
我々は、ガラス系の物理を研究しています
気体・液体・固体という物質の三態は高校理科の初等的な概念ですが、実は我々の身の回りには、この概念でうまく分類できない物質が多数あります。
私たちが研究している「ガラス」は、その典型例です。
「ガラス」とは、粒子が乱れた配置のまま固化した物質の総称です。
窓ガラスなどのシリカガラスや金属元素からなる金属ガラスがその代表例ですが、その他にも、マヨネーズは油滴が乱れた配置のまま固化した物質ですし、砂山や交通状態などもガラス状態と言ってよいでしょう。
こう見てみると、我々の身の回りの固体の半数程度は「ガラス」だと言えます。
では「ガラス」は物理的にどのように理解できるでしょうか?
例えば氷のような結晶状態は、熱力学や平衡統計力学で明快に定義できる固体であり、液体と結晶は一次相転移で紛いなく峻別されています。
しかし「ガラス」は往々にして非平衡状態にあり、そもそも平衡相図上で定義することができません。
さらには問題とする現象やタイムスケールに応じて、液体的な現象も見せれば固体的な現象もみせます。
21世紀にもなって、と思うかもしれませんが、ガラスの物理的理解は驚くほど進んでいません。
むしろ、統計力学・化学物理・ソフトマター物理・非平衡物理・弾性理論・情報理論などの幅広い分野の研究者がアイデアを出し合い急速に研究を進めている、
現代物理のフロンティアの一つとなっています。
私達は力学・連続体力学・統計力学をベースにして、(1)ガラスを物理的に理解すること、(2)数多あるガラス的な系を理解して分類すること、
を目指した理論的・数値的研究を行っています。([研究内容]もご覧ください。)
最近のニュース
- 2024年3月 金 炯基さん(M2)が令和5年度広域科学専攻奨励賞を受賞しました。
- 2023年10月 高羽悠樹さん(D1)、吉田真樹さん(M1)が第78回年次大会(2023年)日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました。
- 2023年3月 「ガラスは固まる直前にどう動く?なぜ動く?――分子性過冷却液体の大規模シミュレーションにより四半世紀以上の懸案を解決」と題してプレスリリースを行いました。
- 2022年4月 原雄介さん(D1)が第77回年次大会(2022年)日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました。
- 2022年3月 島田真成さん(D3)が令和3年度一高記念賞を受賞しました。
- 2021年9月 「ガラスの流動化を生み出すミクロな構造―90 年来の未解明問題の解明:Herschel-Bulkley 則の構造起源―」と題してプレスリリースを行いました。
- 2021年3月 原雄介さん(M2)が令和2年度広域科学専攻奨励賞を受賞しました。
- 2020年10月 日本経済新聞2020年10月25日朝刊、 科学新聞2020年10月30日、ナゾロジー 地球の謎をワクワク探検!、マイナビニュース、 などに研究内容が紹介されました。
- 2020年10月 「ガラスは固体と液体の中間状態 -ガラスでは分子の再配置が絶えず起こっている-」と題してプレスリリースを行いました。
- 2020年3月 白石薫平さん(M2)が令和元年度広域科学専攻奨励賞を受賞しました。
- 2019年12月 水野英如さん(助教)の研究がResearch Outreachに取り上げられました。
- 2019年11月 水野英如さん(助教)が凝縮系科学賞を受賞しました。また、科学新聞に記事が掲載されました。
- 2019年5月 島田真成さん(D1)、白石薫平さん(M2)が第74回年次大会(2019年)日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました。
- 2019年3月 島田真成さん(M2)が平成30年度広域科学専攻奨励賞を受賞しました。
- 2018年11月 水野英如さん(助教)が分子シミュレーション学会学術賞を受賞しました。
- 2018年3月 日本経済新聞2018年3月4日朝刊でガラスの物理が大きく取り上げられ、研究内容が紹介されました。
- 2018年3月 白石薫平さん(B4)が一高賞を受賞しました。
- 2017年11月 「ガラスと通常の固体の本質的な違いを発見 -コンピュータシミュレーションによってガラスの特異な振動特性を解明-」と題してプレスリリースを行いました。
- 2017年3月 水野英如さん(助教)が日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。
- 2016年10月 池田が平成28年度東大卓越研究員に選ばれました。
- 2016年2月 研究室が発足しました。
修士・博士課程の大学院生を募集しています!
研究内容・受験方法の詳細については、気軽に池田までコンタクト(メール・電話・訪問)を取ってみてください。
学内・学外の志望者を歓迎いたします。
最近、エフエム京都(α-STATION)で研究内容についてお話させて頂きました。
参考になるかと思います。
[前半・後半]からどうぞ。
所在地・コンタクト
〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 駒場Iキャンパス 16号館 (池田:727A)
atsushi.ikeda [at] phys.c.u-tokyo.ac.jp