| 2013/05/13(月) 17:00-19:00 農学部・2号館・1階化学第3教室
関有沙(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻大気海洋研究所・D1) |
|
|---|---|
| 化石サンゴ骨格のSr/Ca比を用いた古水温復元 〜沖縄県久米島の化石サンゴから復元した完新世中期・後期境界の気候変動〜 サンゴ骨格中の微量元素は、サンゴ成長時の様々な気候状態によって含有量が変化することが知られている。そのため、化石サンゴの骨格中の微量元素を測定することで、過去(サンゴが成長していた時期)の気候を復元することができる。本研究では、微量元素を用いた古気候指標の中でも、特に信頼性の高い水温指標であるハマサンゴ(Porites sp.)骨格のSr/Ca比を用いて、過去の水温復元を試みた。 本研究では、完新世(過去約11,700年間)の中でも特に、完新世中期・後期境界として着目されている約4200年前を対象とした。また、水温が気候変動に敏感に反応する地域である黒潮域での古水温復元を行った。 黒潮域に位置する沖縄県久米島から採取した2群体の化石サンゴについて14C年代測定を行い、それぞれ約3800年前と約4500年前に成長していたものであることを明らかにした。この化石サンゴ2試料と、現生サンゴのSr/Ca比を測定し、現生サンゴのSr/Ca比から、Sr/Ca比と表層海水温の換算式を作成した。この換算式を化石サンゴのSr/Ca比に適用し、約3800年前と約4500年前の夏と冬の表層海水温をそれぞれ独立に復元した。その結果、夏・冬ともに約4500年前から約3800年前にかけて水温が明瞭に低下したことが世界で初めて明らかになった。また、この水温低下がPME(Pulleniatina minimum event)と呼ばれる黒潮の弱化イベントと時期が一致していることと、夏と冬の水温が同程度低下していたことから、黒潮の弱化が水温低下の原因である可能性を示唆した。 | |
|
小暮敏博(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻・准教授) |
|
| 軟体動物貝殻を形成するアラゴナイト −その特異性−
無水炭酸カルシウム(CaCO3)の多形であるアラゴナイト(霰石)は、カルサイト(方解石)とともに軟体動物貝殻を形成する主要な生体鉱物である。非生物起源のアラゴナイトは六角柱状の形態をもち、その伸長方向は結晶のc軸に平行であることはよく知られている。また様々な条件で形成される合成のアラゴナイトでもこの結晶学的特徴は保たれている。さらにこれまで多くの研究で調べられてきた真珠層のアラゴナイトも、その形態は有機膜によって板状に規定されているが、結晶学的特徴は無機的なものと大きく違わないことがわかっている。しかしながら、最近筆者らは他の貝殻微細構造中のアラゴナイト結晶をTEM等で調べているが、そこには無機的なアラゴナイトとは大きく異なる様々な特徴が見られる。今回の発表ではそのいくつかの例を紹介したい。このような結晶学的特徴がどのように実現されるかを明らかにすることは、今後の生体鉱物研究のひとつの課題と思われる。 |
|
|
|

