「生命とは何か」という根源的な問いに立ち向かうためには、「生きている状態」と「生きていない状態」の違いを解ることが必要になる。では、膨大な数の分子から構成される生物システムの何処を見れば、その生きているという状態を切り出せるであろうか?ゆらぎや環境変動に対する安定性(ホメオスタシス)と、様々な状態間をダイナミックに辿ることができる可塑性の両立は、生物システムが持つ普遍的な性質であるが、それはどのようなメカニズムによって出現するのであろうか?実験技術の進展は、生物システムの様々な量を定量的に測ることを可能とし、またその機能を部分的に創りだしている。本部門では、そうした実験データを統合しつつ、生きている状態とその安定性・可塑性を記述する状態量を明らかにし、それに基づいた動的状態論の構築を目指している。