本機構のミッション

 あらゆる生物に共通する普遍的な法則とメカニズムを解明することは、生命科学研究における究極の目標の一つである。世界的に生命科学分野の定量化・理論化の潮流が進むなか、生物を理解するための指導原理として、生命システムの普遍的性質を明らかにする研究の必要性は益々高まっている。この問題に対して、東京大学の理論的生物学と定量的生命実験科学の研究グループを結集することで、世界初の生物普遍性研究機構を立ち上げ、世界を先導する新分野を創出することを目指す。  生命現象に対して、数理と物理を用いて定量的・理論的な研究を行っている研究者は、本学では理学系研究科と総合文化研究科を始めとして、医学系、工学系など多くの部局に分散している。そこで、この2部局が中心となり研究者を結集し、20名超の研究者が生物普遍性の解明に携わる世界的研究教育拠点を構築することとなった。学内のキャンパスを超えた連携のみならず、国内外の関係研究機関との連携研究体制を整備し、理論と実験の緊密な協力による数理生命研究を推進し、先導的成果を創出する。本機構が目指す、生命の普遍的な法則とメカニズムの解明は、基礎的研究であるが、そこから派生する、万能細胞や幹細胞における分化の可逆性/非可逆性の制御機構の解明、発生や再生におけるジェネティクス/エピジェネティクス、細胞動力学と集団的挙動の解明、さらにはこれらの原理に基づく人工的な細胞の合成などは社会的にも要請が高いと考えられる。  教育面では、東京大学の駒場と本郷の2つのキャンパスの垣根を越えた連携により、学部前期課程・後期課程・大学院を通じて、生物と数理、物理を俯瞰できる全学的な導入教育の強化などを目指す。また、学部の枠を超えて学部・大学院教育の一体性を強める総合的教育システム改革を行い、全学の豊富な人材と資源の活用に資するとともに、理論と実践を高いレベルでバランスできる将来のイノベーションを牽引する高度専門人材の育成に寄与することで東京大学の機能強化につなげることを目指している