概要:アンモノイドは、軟体動物門頭足綱に属する絶滅した分類群で、その化石はアンモナイトとしてよく知られている。アンモノイドは古生物学の分野において様々な視点からの研究が行われているが、中でも注目を集めているのがアンモノイドが持つ縫合線と呼ばれる模様である。縫合線は、成長に伴い形成される複雑かつ規則的な模様で、種類や分類群ごとに様々に異なる。アンモノイドの縫合線は、化石記録からその多様化と複雑化の歴史を詳細に観察できることから、複雑な形態形質の進化を議論するのに適した題材である。 アンモノイドが縫合線を形成するメカニズムについては、これまでに様々な説が提唱されている一方で、コンセンサスは得られていない。本研究では、縫合線形成のメカニズムの解明を目指して、反応拡散系をもとに縫合線のパターンを説明することを試みている。