UBI seminar (29th) 2018年12月13日(木)15:30~
 場所:東京大学本郷キャンパス 理学部1号館413号室
 講演者: 粟津 暁紀氏(広島大学)
 講演タイトル:
 モデル生物を用いた遺伝子制御・発現動態の実験・数理的研究:RNA-seqと数理モデルによる
 シロイヌナズナ遺伝子発現揺らぎの解析と、ウニ初期胚核内構造変化の蛍光イメージング解析

要旨:
ウニは動物の形態形成研究の対象として、シロイヌナズナは植物の生長・ストレス耐性研究の対象として古くから幅広く研究がなされている、
高等生物のモデル生物であります。本セミナーでは、近年進歩してきた遺伝子発現量計測技術や蛍光イメージング技術による解析と数理的な考察から、これらの生物で見られる遺伝子制御・発現動態に関する最近の知見を紹介したいと思います。具体的にはRNA-seqによるシロイヌナズナ遺伝子発現揺らぎの計測と確率的フィードバックを考慮した遺伝子ネットワークモデルによる発現動態のモデル化[1]、発生の進行に伴い変動するウニ初期胚の核内構造のイメージング解析[2]、について紹介したいと思います。また時間がありましたら、ウニ胚の形態の左右性決定に対する繊毛の役割に関する知見も紹介したいと思います[3]。セミナーでは各トピックをやや広め浅めに紹介したいと思います。詳しい内容にご興味を持たれましたら、下記の文献[1-3]をご参照頂けると幸いです。


[1] A. Awazu, et al., Broad distribution spectrum from Gaussian to power
law appears in stochastic variations in RNA-seq data. Sci. Rep. 8,
(2018) 8339.
[2] M. Matsushita, et al., Dynamic changes in the interchromosomal
interaction of early histone gene loci during early development of sea
urchin. J. Cell Sci. (2017) 130, 4097-4107.
[3] A. Takemoto, et al., Cilia play a role in breaking left–right
symmetry of the sea urchin embryo. Genes to Cells (2016) 12362.