概要:細胞組織は、力学的性質に注目した時、単なるソフトな粘弾性体ではなく、以下の点で特徴的な違いがある。
(a)細胞がエネルギーを 消費しながらアクティブなストレス(収縮力)を発生させる、(b)細胞の運動、(c)細胞極性、 細胞の変形などの異方性、(d)細胞増殖と細胞死。今回は、このような特徴に着目し、細胞組織のダイナミクスを記述する連続体方程式を構築する試みについて紹介し、
一次元的な組織成長や、密度波などの簡単な応用例について議論する。
[1] "Cell growth, division, and death in cohesive tissues: A thermodynamic approach", Shunsuke Yabunaka and Philippe Marcq, Phys. Rev. E 96, 022406 (2017)
[2] "Emergence of epithelial cell density waves", Shunsuke Yabunaka and Philippe Marcq,
Soft Matter, 2017,13, 7046-7052