UBI seminar
 日時 : 2025年2月28日(金)11:00-12:00
 場所: 東京大学 本郷キャンパス 工学部3号館 6階 6C06号室(大会議室2
 講演者: 中村秀樹 特定准教授 (京都大学 白眉センター 大学院工学研究科 )
 演題: 合成生物学で生きた細胞の中身を”工事する”

要旨: 生命の最小単位である細胞は、内部に無数の構造体を内包しています。個々の構造体はタンパク質や核酸・脂質など多様な生体分子からなり、μmスケールの大きさを有します。これらの構造体がそれぞれに重要な生理学的機能を発揮し、互いに有機的かつダイナミックに関連し合うことで生命が維持されます。その様子は、あたかもわれわれ人間の社会がさまざまな組織やインフラストラクチャーの活動で維持されている様を思わせます。 私は最近の研究で、生きた細胞内の細胞内小器官や非膜型オルガネラをはじめ、これら細胞内の構造体のダイナミクスを小分子化合物や光など外部からの刺激で自在に操作する技術、いわば『細胞という社会を「工事する」技術』の開発に取り組んできました。これらのうち、非膜型オルガネラの典型例であるストレス顆粒の集合・離散や、ミトコンドリアの形態を人為的に操作する技術を中心に、個々の技術と今後の展望についてお話しします。また、現在開発に取り組んでいるあらたな操作・解析技術についてビジョンを共有し、細胞というちいさな“社会”を自在に「工事する」技術開発とその未来について議論を深めたいと思います。