アブスト: 微小管とアクチンに代表される細胞骨格は、細胞内において秩序的な構造を形成して、物理的な力を生成することで細胞内小器官の配置や細胞の運動・分裂を始めとした生体機能を実現する。細胞骨格の「構造と機能」を実験物理学として理解するためには、骨格が生成する物理的な力を細胞内で直接測る必要がある。
私たちは、ムラサキウニ受精卵内の微小管星状体を対象として、骨格高次構造の細胞内力学測定を進めている。磁気ピンセットを用いて運動中の星状体に大きさ・方向が制御された外力を加えて、星状体の駆動力および運動に伴うエネルギー散逸を測定した。さらに簡単なモデルを用いて、これらの力学的な性質が星状体の運動速度の揺らぎや形の非対称性を定量的に説明できることを示した。
発表では具体的な実験結果に基づいて、「力を測ったら何がわかるのか」を議論して頂けるのを楽しみにしています。
[1] Tanimoto, Kimura, Minc, JCB (2016)
[2] Tanimoto, Dudin, Salle, Minc, to be published